眠れない夜に眠るには?
すぐ試せる簡単な方法9選!

早く眠らなければ、と思えば思うほど目が冴えて眠れなくなってしまったという経験はありませんか?
眠れない原因としては、精神状態や体調、環境など様々なことがあります。
すぐに試せて自然に眠くなる実践的な9つの対策方法と、快眠のために取り入れておきたい日々の習慣についてご紹介します。

更新日:2023/09/28

眠くなる方法9選

眠れないことが習慣化してしまうと、睡眠不足や病気に繋がってしまう恐れもあるため、そのままにせずに対策をとりましょう。今から実践でき、自然と睡眠を促す方法を9つご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

1. まずは快適な寝室空間をつくる

脳と体は環境によって大きく左右されるため、様々な影響から夜に眠れなくなってしまうことがあります。

日頃からベッドや寝室に入り、ここが寝る場所だと脳に認識させておくことで自然に寝られるようになります。逆にベッドに入った後の長時間の読書や、スマートフォンの使用などをするとベッドが眠れない場所と脳が認識してしまう恐れがあり、入眠を妨げる原因になってしまいます。ベッドでは寝る以外のことをしないことで脳にしっかり眠ることを覚えさせましょう。

次に体の方の寝つきが良くなるような環境づくりですが、例えば、湿度や温度を調整しましょう。湿度が高いと熱が体にこもってしまい、逆に寒いと血管が収縮します。どちらも上手く体内温度を下げられずに寝つきが悪くなってしまうので、エアコンを上手に使うなどして湿度や温度を調節するのが良いでしょう。ただし、エアコンを使用するときは、乾燥に十分注意しましょう。

2. 身体を温める

人は眠くなると手足の温度が高くなり、眠りはじめると汗をかき、深部体温を下げることで深い睡眠を得ています。この眠りのメカニズムを上手に活用するために入浴は、シャワーだけではなく、湯船に浸かって身体をしっかりと温めるのが良いでしょう。

冷え性の方は、手足が冷え、眠れない原因となりますので足元を中心に温め、スムーズに寝られるようにしましょう。日頃から保温機能があるインナーや、レッグウォーマーを着用するなどの温活を取り入れておくのもポイントです。その他にも、ホットミルクや温かいハーブティなどを飲むことで、心身ともにリラックスできるのでおすすめです。ただし、コーヒーや紅茶などカフェインが入っている飲みものは、覚醒作用があるため、寝る前に摂取するのはなるべく控えましょう。またアルコールを摂取して眠ると眠りが浅くなってしまい、途中で目覚めやすくなってしまうのでおすすめしません。

3. 体内時計のリズムを整える

体内時計が人には備わっており、これは睡眠に大きく関係しています。普段意識することはなくても、朝日を浴びると日中、脳も体も活動的になり、そこから約14時間程度経つと休息状態になるというサイクルを一定に刻んでいます。この休息の状態に切り替わるときに、メラトニンというホルモンが分泌されます。メラトニンは暗くなってくると、脳から分泌され、明るい光によって分泌量が抑制されます。つまり毎朝起きて日光を浴びていると、夜には自然と眠くなるということです。

ただしメラトニンは、日光でない光にも影響を受けるため夜であっても強い照明を浴びると、分泌量は低下してしまい、眠りを妨げる恐れがあります。寝つきを良くするためには、できる限り毎朝同じ時間に起きて光を浴び、夜寝る前には間接照明にするなどして、メラトニン分泌量を上手に調節することが大切です。

4. 早く眠ろうとして焦らない

早く眠ろうと焦らないことも大切です。なかなか寝つけないときにどうしても眠らなければと考えてしまいがちですが、眠ろうと焦ると頭が冴えてしまい、逆に眠れなくなってしまうことがあります。これは脳から伝令を送る自律神経が関係しています。自律神経には、日中に活動するために血管を収縮させながら働いている交感神経と、休息中やリラックスしているときに、血圧を下げる、筋肉を緩めるなどの働きをする副交感神経の2種類があります。

夕方から夜にかけて徐々に副交感神経が働き始め、眠くなる状態に導くのですが、眠らなければと焦ってしまうと緊張状態が高まり、交感神経が優位になってしまうのでますます眠れなくなります。

眠れないときは焦らず、そのうち眠くなるだろうという楽な気分でリラックスしていることが、自然な眠りへの近道です。

5. 眠くなる音や音楽を聴く

眠くなる音や音楽を聴くこともおすすめです。例えば雨の音や、焚火の音、水が流れる音、本のページをめくる音など生活の中で生まれる音に耳を傾けながら寝るのも良い方法です。リラックスしたいときや、安眠したいときなどには、ASMR(Autonomous Sensory Meridian)と呼ばれる生活音を集めた音源があるので活用してみてはいかがでしょうか。他にも子どもに向けた読み聞かせを収録した音源を聴くと、リラックスして眠くなることもあります。オルゴールで音楽を聴くこともおすすめの方法の一つです。オルゴールには、森林浴に似た作用があり、中枢神経系を構成する脳幹に訴えて自律神経を整える働きがあるとされています。なお、本物のオルゴールは、CDの音源にはない高周波数があり、ヒーリング効果が高いと考えられています。

これらの音源は、人によって効果の差があるかもしれませんが、快眠できるようにいろいろ試して、自分にあったものを取り入れましょう。

6. ツボを押す

ツボ押しで血流を促すと酸素が体に循環し、疲労回復や、ストレスの緩和など自律神経を整える効果に期待ができます。

  • 労宮

    基本のツボ押しのポイント一つめは、労宮と呼ばれるツボです。労宮は、手を握ったときに人差し指と中指の先端の間にあります。深呼吸しながら、反対の親指の腹を使って5秒ほど押さえてゆっくり放す動作を5回ずつ行います。また、ゴルフボールを両手に挟んでも良いでしょう。

  • 失眠

    失眠は、かかとの中央にある少しくぼんだ場所にあるツボです。神経の高ぶりを沈めるほか、むくみや下半身の冷え対策にも効果があります。失眠は皮膚が硬いので、刺激が弱いと感じる場合は、握りこぶしをつくって押してみても良いでしょう。

  • 百会

    百会、頭頂部付近にあるツボです。両耳を繋ぐ線と眉間の中心線が交わる場所にあり、小さい円を描くように刺激をしてみると、ストレスやイライラを解消してくれる効果があるとされています。

7. リラックスできる運動や呼吸法を試す

リラックスできる運動や呼吸法を試すことも一つです。
リラックスできる呼吸法を使った簡単な運動を試してみると、普段よりもスムーズに眠れることがあります。まずは足を肩幅ぐらいに開いて仰向けに寝ます。全身の力を抜き、両腕をだらんと伸ばした状態が、リラックスの基本姿勢です。

  • 筋弛緩法

    リラックスの姿勢から手をグーの形にして力を入れます。5秒ほどその状態にしたまま脱力します。筋肉を緊張させた後に、一瞬脱力をすることでリラックスを感じることができます。足も同様に足首を曲げてアキレス腱を伸ばした後、5秒ほどキープし、すぐに脱力します。

  • 腹式呼吸法

    リラックスの姿勢から腹式呼吸をしてみるのも効果的です。まずは口から大きく息を吸います。このときに、お腹がへこむ状態を意識しながら、ゆっくりと息を吐きます。次にお腹が膨らむのを意識しながら、鼻から息を吸い込みます。そしてまたゆっくりと息を吐きます。これを繰り返し行います。

8. アロマを使ってみる

アロマを使ってみるのもよいでしょう。嗅覚と脳は直接的に結びついているため、心地よい香りを感じることができるアロマは、寝る前のリラックスタイムに最適です。一般的に、安眠に繋がるといわれているのがラベンダーです。ラベンダーに入っている酢酸リナリルという香り成分は、脳内でセロトニンの分泌を誘発する効果があるとされています。そのため、自律神経に作用し安眠に繋がりやすくなります。その他にカモミールも眠りを促してくれる代表的なアロマです。カモミールは様々な研究結果から、神経や筋肉の緊張を緩和させる効果や、よく眠れるように整えてくれる役割があることが分かっています。アロマを焚く習慣がないという方は、カモミールティーにして飲む、ミストにして吹きかける、フレグランス、ボディークリームにするなど手軽に挑戦できるものもたくさんあるので、参考にしてみてください。

9. 睡眠記録をつける

上記の対策方法を試しながら、睡眠記録をつけてみるのも良いでしょう。良質な睡眠をとれないと感じている方の中には、過度に敏感になっている、神経質になっているなども考えられます。実際に眠れているのに、眠れていないと感じてしまうことも少なくありません。睡眠日誌をつけることで客観的な記録を残すことができるので、自分が思っているより眠れていることや、日中の活動に支障が出ていないなどの気づきがもらえることもあります。睡眠日誌には、毎日の就寝した時間や、起きた時間、実際に眠った時間、日中での活動などを記録していきましょう。記録するのが大変という方には睡眠の記録ができるスマホのアプリや睡眠時間や睡眠の質を測る活動量計といったものもあります。眠りの深さを測定できるため、このデータをチェックすることで生活習慣の改善にも役立つことでしょう。

睡眠に良い生活習慣は?

1. スマートフォンを見ない

最近は寝る直前までスマートフォンを見ている方も多いのではないでしょうか。スマートフォンに限ったことではありませんが、パソコンやテレビの画面から発せられるブルーライトを浴びると、メラトニンの分泌が抑制されてしまいます。入眠を妨げてしまう原因となるため、少なくとも就寝30分前までには見ないようしましょう。入浴後や、寝室に入ったら見ないようにするなど日頃から習慣づけることが良質な睡眠への近道です。

2. 退社後のメールチェックはNG

退社後や就寝前のメールチェックも、スマートフォンと同様になるべく控えるべきです。入眠の妨げになるのは、ブルーライトだけではありません。夜は脳が疲労してきているので、判断力や注意力が低下しているものです。うまく頭が働いていない状態で返信をして後悔してしまう可能性や、仕事内容によっては、大きなストレスがかかってしまい、結局眠れなくなってしまうこともあるでしょう。精神状態をリラックスさせるためにも、メールチェックは起床後にすることをおすすめします。

3. 食事は寝る3時間前までに

食事は寝る3時間前までにしましょう。寝る直前に食事をとると、消化させるために内臓が働きだし、眠気を遠ざけてしまうので夕ご飯は、就寝の3時間前までにしておくのが理想的です。それが難しい場合は、1回で食事を済ませるのではなく、分食にする方法もあります。エネルギーになるような食べものは1回目のときに、2回目はスープ系にするなど胃腸に負担がかからないようにし、入眠の妨げにならないように日頃から心がけましょう。

4. 湯船に浸かる

眠くなるメカニズムは、眠くなり体温があがり、下がり始めるときに眠りにつきます。ですから入浴することで、血行を促進させ、身体が温まったのちに、徐々に放熱していくことで良質な睡眠へと繋がります。入浴は良質な睡眠に最適な生活習慣です。お風呂の設定温度は、38度~40度くらいのぬるめの湯にし、就寝の1時間ほど前に済ませることがポイントです。お風呂の温度が熱いと、心拍や血圧が上昇し、冴えてきてしまうため注意が必要です。

5. 自然光で起きるようにする

理想的な体内時計のリズムに整えるためにも、朝は自然光で目覚められるようにしましょう。明け方、外の光が入ってきて、寝室内も明るくなってくると気持ちの良い目覚めに繋がります。窓に遮光カーテンなどをかけている場合は、カーテンを全て閉めきらずに、顔に当たらない位置で少し開けておくと、光が差し込むのでおすすめです。

そもそもなぜ眠れないのか

そもそもなぜ眠れないのか?眠れない原因には、環境や心理的なもの、身体的なものなど様々なことが考えられます。身近な原因として次のようなことが挙げられます。

1. 心理的なストレス

眠れなくなる原因の一つとして多いのは、心理的なストレスです。夜寝る前になると、仕事やプライベートのことで、ネガティブな思考を持ってしまうという経験は、誰しも思い当たるのではないでしょうか。しかし、過去のことをずっと考えていても変えることはできません。ネガティブな思考を一旦止めて、好きなことへ没頭する、ストレス解消法を見つけることなどが大切です。また、寝る前に光の刺激を受けることや、過度に時間を気にすることで余計に眠れなくなってしまうため、この点にも注意が必要です。

2. 生活リズムの乱れ

昼夜が逆転するような生活リズムの乱れによって、体内時計が狂い、眠れなくなっている可能性があります。睡眠のホルモンであるメラトニンは、光を浴びてから約14時間程度で分泌されます。そのため、日々の就寝時間と起床時間は、なるべく一定にしていたほうが良く眠れるようになるでしょう。また、朝起きたときの行動として光を浴びるということもポイントです。雨の日や曇りの日であっても、カーテンを開けて光を浴びるように心がけましょう。

3. 外的環境の影響

外的環境の影響も原因になります。例えば、脳に与える刺激は環境によっても左右されるため、寝室の環境には十分な配慮が必要です。暑さや寒さなどの不快感で眠れなくならないように適切な温度や湿度といった部屋の環境を整えることはもちろん、質の良い眠りをとるためには、入眠の妨げとなるスマートフォンの操作を寝る直前までしないといった生活スタイルの見直しをすることも大切になります。他にも騒音や外の街灯、時計のチクタクという音が気になってしまうなど様々な外的影響も考えられますので注意してください。

4. 寝る前のカフェイン摂取

寝る前のカフェイン摂取も気をつけましょう。カフェイン摂取後の効果は人によって異なりますが、夕方や、夜寝る前にコーヒーや紅茶を摂取すると、眠れなくなることがあります。朝の目覚めの1杯としてコーヒーや紅茶を飲むと、カフェインに含まれている覚醒作用が働き、その後のパフォーマンスに役立ちますが、就寝前に飲んでしまうと逆効果になってしまいます。そのため、カフェインはなるべく夕方までに摂取し、それ以降の飲みものは、カフェインが入っていないものにすると良いでしょう。

5. 病気や服用している薬の影響

病気や服用している薬の影響の場合もあります。

眠れない状態が長期間続いた場合は不眠症も考えられます。不眠症の中には、なかなか寝つけない入眠障害や、ぐっすりと眠れない熟眠障害など様々タイプがあります。他にも、高血圧や心臓病、呼吸器疾患などの身体的な病気の症状が関わっていることもあります。また、心の病気によるものや、抗うつ剤、降圧剤、甲状腺の治療薬など服用している薬の影響で眠れなくなることもあるため、症状が深刻な場合は、早めに医師に相談してみましょう。

どうしても眠れないときは

様々な方法を試しても眠れない場合は、一旦起きてベッドから離れてみましょう。ベッドに入っても眠れないという経験を繰り返していると、脳が眠れない場所と認識してしまい、慢性的に眠れない状態が続く恐れがあります。気持ちを切り替えてベッドを離れた後は、脳を覚醒にさせないように、穏やかに過ごしてみましょう。例えば、退屈な本を読んでみることもおすすめの方法です。一方で眠れない原因の中には睡眠時無呼吸症候群や、むずむず脚症候群など睡眠障害の恐れもあります。睡眠障害は、寝ている状態で起こるため、自覚症状がないことも少なくありません。眠れない状況が2週間以上続く、あるいは日常生活に支障がある場合は、早めに医師に相談するようにしてください。

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まとめ

ベッドに入っても、なかなか眠れないことの原因は、ストレスの他にも、生活サイクルの乱れや、外的環境によるものなど様々なことが関係しています。気持ちが焦ってしまうと、より一層目覚めてしまう可能性があるため注意が必要です。スムーズに眠るためのコツは、心も身体もリラックスの状態にすることです。上記でご紹介した体内リズム、室内環境を整える、呼吸法や音楽を聴くなど、いくつかの方法を試してみて、ご自身にとって心地よいと感じるものを見つけてみてください。

この記事の監修者

友野なお

睡眠コンサルタント / 株式会社SEA Trinity代表取締役
千葉大学大学院 医学薬学府 先進予防医学 医学博士課程
順天堂大学大学院 スポーツ健康科学研究科 修士
日本公衆衛生学会、日本睡眠学会、日本睡眠環境学会 正会員

自身が睡眠を改善したことにより、15kg以上のダイエットとパニック障害の克服に成功した経験から、科学的に睡眠を学んだのち、睡眠の専門家として全国にリバウンドしない快眠メソッドを伝授。著書に「眠れないあなたを救う睡眠ファースト」(主婦の友社)など多数発売され、韓国・台湾・中国全土でも翻訳され発売されている。眠れると話題の「ぐっすり眠れる不思議な塗り絵」(西東社)は9シリーズ発売されるほどの人気。