眠りの疑問 -睡眠について- SLEEP FAQ
Q
寝不足の症状は?睡眠不足のリスクを解説
更新日:2024/07/01
A
日々を過ごしていく中で「寝不足」だと感じたことがある人も多いのではないでしょうか。よくあることだと軽視してしまう人もいるかもしれませんが、実は寝不足が続くと身体にかかる負担は知らないうちに大きくなります。ここでは寝不足が起きてしまうメカニズムや、寝不足が引き起こす悪影響について解説していきます。
寝不足とはどんな状態?
寝不足とはどのような状態なのかというと、適切かつ必要な睡眠時間が足りていないことをいいます。厚生労働省の調査によると、現代の日本人の平均睡眠時間は6時間以上7時間未満という割合が最も多く、「日中に眠気を感じている」方や「夜間、睡眠途中に目が覚めた」といった睡眠の質の状況が良くない方が多いようです。寝不足になると何が良くないかというと、日中、無意識のうちに眠気に襲われ居眠りをしてしまうこともありますし、疲労感や集中力が低下することも多く、仕事でミスをするなど日常生活にも様々な悪影響を及ぼす可能性があります。
寝不足になっているサイン
寝不足のサインとはどのようなものがあるのでしょうか?例えば、飴や氷など噛む癖がある人は、寝不足に陥っている可能性が考えられます。寝不足になると、癒しのホルモンである「セロトニン」が低下し、精神的に不安定になりやすくなります。噛む行為はその低下したセロトニンの分泌を促す役割があるため、一定のリズムで飴や氷を咀嚼して精神を安定させようとしているのかもしれません。
「甘いものが常に欲しい」などの食欲が抑えられないような場合も、寝不足になっているサインかもしれません。これは、睡眠時間が短くなると食欲抑制のホルモンである「レプチン」が低下し「グレリン」という食欲増進ホルモンが分泌されやすくなるという研究データもあり、寝不足のサインによって「甘いものが常に欲しくなっている」と考えられるためです。
なぜ睡眠を取らなければならないのか
適切な睡眠には様々な良い効果があり、いきいきと健康的な生活をするために欠かせないものです。代表的な効果の一つは、「成長ホルモン」による疲労回復です。成長ホルモンは、骨や筋肉を成長・発達させるためだけに働いているわけではなく、成人してからも、代謝などの調節をし、免疫機能や認知機能などにも作用していることが報告されています。人間は日中にたくさん活動することで身体や脳にダメージを受けます。一定の睡眠時間を確保することで疲労回復物質が分泌され、新しい細胞が作られるだけでなく、傷ついた細胞も修復するように働きかけてくれるのです。
また、その日に学習したことを脳に定着させるように働きかけるのも睡眠の大切な役割です。脳の中に入った情報は、睡眠中に整理されて記憶として定着していきます。つまり睡眠時間をしっかりと確保することで効率よく作業ができるようになります。「ただの寝不足だから」と放置していると、ストレスや疲労が溜まるだけでなく、判断力が鈍るなど日々の生活に大きく影響を与えてしまう可能性もあるため、寝不足はなるべく早めに解消するべきといえるでしょう。
理想の睡眠時間は?
理想の睡眠時間は、個人差が大きくさらに年代によっても変わります。厚生労働省のパンフレット「良い目覚めは良い眠りから 知っているようで知らない睡眠のこと」によると、働く世代にとって必要な睡眠時間は6~9時間とあります。ただし、ロングスリーパーと呼ばれる、平均的な睡眠時間より多く睡眠が必要な方であれば平均より多く眠らないと活動的になれないかもしれません。一方で短い睡眠であっても、健康状態に問題がないショートスリーパーという体質の方もいます。また、目安を意識しすぎて「6時間以上寝なくてはいけない」と過敏になると、それが原因でストレスを感じ、眠れなくなってしまうこともあります。眠れないのに我慢してベッドで目をつぶっていると、脳が「ベッドは眠る場所ではない」と錯覚を起こしてしまうことも。寝不足にならないように、睡眠時間を確保することに加えて「質の良い睡眠」を取ることも大切なポイントです。 睡眠前は、心も身体もリラックスできるようにプライベートや仕事の悩みなどは一度中断し、考え過ぎない工夫をしてみると良いでしょう。温かい飲み物を飲んだり、軽いストレッチを行うことによって、ストレスを発散させたり心を落ち着かせることも効果的です。
寝不足が引き起こす悪影響とは?
寝不足が一時的なものなら様子を見ることもできますが、これが続くと、以下の様々な症状が現れることがあります。
- 免疫力の低下
- 思考力の低下
- 太りやすくなる
- 頭痛・倦怠感が生じる
- 生活習慣病になりやすくなる
- うたた寝をしてしまう
- 些細なミスが多くなったり、重大なミスにつながったりすることがある
このような症状が、やがて大きな病気に繋がる恐れもあるため注意しなければなりません。
免疫力の低下
睡眠不足によって免疫力が低下することも懸念されます。
免疫力は寝ているときに成長ホルモンによって強化されるため、睡眠不足や不規則な生活を続けていると必要な成長ホルモンが分泌されずに免疫細胞が減少することで免疫力が低下します。
免疫力は、生まれつき人の身体に備わっている防御機能で、ケガの回復を早め、体の中に入ってこようとする病原体や異物を排除しようとする働きがありますが、低下すると、ウィルスや細菌が体内に侵入しやすくなるため、風邪や感染症を引き起こすなどの影響もでてきます。海外での研究では、睡眠時間が短い人は十分に眠っている人と比べると風邪にかかりやすいということも分かっており、免疫力を低下させない、あるいは高めるためにも睡眠の質と睡眠時間の確保が必要といえるでしょう。
思考力の低下
睡眠不足は体だけでなく脳にも大きな影響を与え思考力を低下させます。
人は起きているとき、脳の神経細胞機能を活発に活動させながら老廃物などを排出していますが、睡眠時には脳細胞が縮小し、その空いたスペースで脳脊髄液を循環させる働きがあることが分かっています。また寝ているときに新しい細胞を作り上げ、修復するなど多くの働きによって深い思考を可能にしているのです。寝不足が続いてしまうと余計な老廃物を排出できなくなり、その結果「聞く」「話す」「理解する」といった思考力の部分を担っている神経細胞機能が低下してしまいます。加えて記憶力も低下し、内容を覚えられなくなるなど仕事や勉強などにも影響が及ぶ可能性があるでしょう。
参考:(大阪市立大学)なぜヒトは眠るのか? 睡眠中に行われている脳のリセット 神経細胞が脳領域ごとに活動にブレーキをかけていることが判明
太りやすくなる
睡眠不足によって太りやすくなることも懸念されます。
睡眠時間の短さは肥満やそれに伴う病気になりやすいと考えられていますが、その根拠は、食欲に関するホルモンが大きく関係しています。寝不足によって食欲増進ホルモンの「グレリン」が増えていくため、当然食事の量が増えます。またグレリンの分泌が増えていく一方で、食欲抑制のホルモンである「レプチン」は低下していくということが分かっており、なかなか満腹感を得られずに食べ続けてしまうことで太りやすくなってしまいます。さらには食物摂取と糖質摂取のコントロールが困難になるなどの悪循環を繰り返すことで消費カロリーは燃焼されにくくなるため、体型を元に戻すためには食事制限や運動などを行い、生活習慣を改善させる必要があるでしょう。
頭痛・倦怠感が生じる
寝不足が続くことで頭痛や倦怠感などの症状が出る方も多くいます。頭痛の種類はいくつかありますが、代表的な症状としては、自律神経が乱れ血管が急に拡張することによって起こる「片頭痛」や、筋肉が緊張し、血流の循環が悪くなって起きる「緊張型頭痛」などがあります。これらの頭痛が続く期間や重症度は人によって様々ですが、慢性化してしまうと日常生活に支障が出ることもあるので注意しなければなりません。また、寝不足によって体内時計が狂ってしまうと身体がだるくなったり、疲れやすくなるなど倦怠感が出ることもあります。本来の睡眠の役割は1日の疲れをリセットさせることですが、寝不足が続けば疲労やストレスも蓄積されてしまうのです。
生活習慣病になりやすくなる
寝不足が原因で太りやすくなることを前述しましたが、食欲のコントロールが難しくなることで、生活習慣病になるリスクも増加すると考えられるでしょう。実際に寝不足状態にある人は、糖尿病や心筋梗塞などの生活習慣病にかかりやすいことも分かっています。また睡眠不足に加えて食生活や喫煙などが関係して歯周病になる可能性も考えられます。生活習慣病は、以前は成人病ともいわれており、日々の食事や運動、喫煙、飲酒など生活習慣そのものの進行が要因となる疾患だといわれています。生活習慣病の定義ははっきりと定められていませんが、心臓病やがん、脳卒中、糖尿病など多くの病気の中に含まれており、とくに40歳以上に多い疾患として認知されています。
うたた寝をしてしまう 些細なミスや重大なミスを起こす
寝不足になるとうたた寝をしてしまいやすくなります。これは、人は睡眠時間が不足している時には脳を強制的に休息させようとし、眠ろうとするからです。睡眠時間が不足している時、睡魔が襲うことがありますが、これは足りない睡眠時間を補おうとしていることによるものです。
適切な睡眠時間の不足を補い、日中のパフォーマンスを高めるために15分〜30分程度の仮眠でカバーすることもありますが、現実には仮眠の時間を取ることさえも難しい場合がほとんどです。
このときには意識してなくてもうとうとしてしまうことがあります。
この無意識の睡眠=うたた寝が重大なミスや、運転中の場合には重大な交通事故などを引き起こすこともあります。実際に睡眠不足によるミスは時に重大なミスや事故につながることがあります。
チェルノブイリ原発事故やスペースシャトルの墜落事故、日本でも運転手の居眠りによる列車事故など重大な事故の原因が睡眠不足によるものであるとの報告もあります。
ですからうたた寝をしている時には、適切な睡眠時間が不足していることを認識しましょう。不可能な場合は休憩中などに仮眠を取るようにし、脳や体へのダメージを抑えるようにしましょう。
かくれ不眠について
かくれ不眠とは、自分自身では気づいていない睡眠による障害を受けている状態をさします。私たちは毎日当たり前のように睡眠をとっています。人生の3分の1は睡眠時間に費やしているといわれているため、90歳まで生きたとして、実に30年は寝ている計算になるわけです。そんな中、かくれ不眠を抱えている人が増えているといわれています。慢性的に眠れない、きちんとした睡眠がとれていない、という症状が週に2回以上、継続的に1ヶ月以上続けば、本人の自覚症状もあるでしょう。しかし、実は本人の自覚が弱い、あるいは全く気がつかないうちに不眠となっているケースがあり、日常の生活を徐々に脅かしているにもかかわらず、それが睡眠不足のためだと結びついていない状態があります。その状態がかくれ不眠なのです。
かくれ不眠の可能性がある人は意外と多い?
毎日ではなくとも、眠るまでに時間がかかる、睡眠途中に目が覚めてしまう、もっと寝ていたいのに朝早く起きる、ちゃんと寝たはずなのに疲れている、などの症状が当てはまれば、かくれ不眠の可能性があります。かくれ不眠に陥っている方は「ただの寝不足」、「いつも乗り切っているから大丈夫」、「自分は寝なくても大丈夫」と考えているケースが多く、睡眠への関心が低いことが特徴です。先ほどお伝えしたとおり、かくれ不眠は、本人は寝ているつもりでもきちんと睡眠をとれていない状態にあるため、体がしっかり休まっていません。かくれ不眠による睡眠不足では、日中の体のだるさ、イライラしていつもストレスを感じている、脳が疲れて体調が整わない、など日常に影響を及ぼします。
かくれ不眠のパターン
かくれ不眠は5つのパターンに分けられます。
- 生活が不規則で日常生活で睡眠をおろそかにしている
- 生活の中で睡眠を重要視しておらず、自分は寝なくても大丈夫と思い込んでいる
- 寝ているのに寝た気がしない(熟睡感の不足)、睡眠が浅いと感じる
- 常にストレスを感じてイライラしたり、やる気がなかったりなど脳が疲れている
- 気にする程度でもないけれども睡眠不足に関して気になる点がある
どうしても眠い時に眠気を覚ます方法は?
身体の不調を感じることなく毎日元気に過ごしていくためには、寝不足には気をつけていきたいものです。ただ、そうはいっても日々の中で睡眠が十分に取れない日が訪れるかもしれません。寝不足によって日中に眠気が起きてしまった時にできる対処法はいくつかあります。以下のコラムでは、眠気を覚ましたい時に使える方法を紹介していますので、これらを試してみるのも良いでしょう。
–眠気をすぐに覚ましたいときに使える方法について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください–
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まとめ
寝不足になることは誰にでも起こる身近なもので、免疫力や思考力が低下するなどのリスクが生じます。放置しておくと思いもよらない病気や重大なミスにつながることにまで発展してしまうこともあります。また、寝不足が続くと不眠症にも繋がる恐れがあり、心と身体のバランスが崩れてしまうことも考えられます。適切な睡眠を取ることで私たちは生命を維持しているという理解を深めたうえで、生活習慣などの見直しをしましょう。少しでも身体の不調で気になることがあれば「大丈夫だろう」と決めつけずに、自分自身の睡眠習慣や生活スタイル、食事や運動習慣を見直してみましょう。それでも改善しない場合は医療機関に相談・治療を検討してみることも大切です。