ぐっすり眠るために
大切なことって?
朝までぐっすり眠ることができ、日中に眠気やだるさを感じていない状態であれば、質の良い睡眠がとれているといえます。では、毎日ぐっすり眠るために大切なことはどのようなことがあるのでしょうか?具体的に解説していきましょう。
更新日:2023/12/22
快眠のために意識したいポイントは5つ
どうすればよく眠れるのか?深い眠りにつくにはどのような方法が効果的なのか?
快眠のために意識しておきたいポイントは次の5つがあります。
快眠のための5つのポイント
2021年に実施されたOECD(経済協力開発機構)の調査によると、日本人の1日睡眠時間の平均は7時間22分で、調査対象の33カ国のうち最も短い睡眠時間でした。最も長い睡眠時間が南アフリカの9時間13分、次に中国が9時間2分、アメリカが8時間51分と続きます。日本の次に睡眠時間が短いのは韓国で7時間51分となっています。全体の平均値8時間28分と比較すると、日本は1時間以上睡眠時間が短いという結果から世界と比べて日本人は睡眠不足といえるでしょう。
実際に睡眠不足や不眠で悩む日本人は多く、成人で30〜50%、その中でも特に女性や高齢者の割合が高いとされています。
ー参考 睡眠時間に関するOECD調査結果(2021年)ー
では、快眠のための5つのポイントについてひとつずつ紹介していきます。
1. 朝に日光を浴び、朝食をとる
人間は光の影響を強く受けて、睡眠状態から覚醒モードに入ります。
ですから、朝起きたらまずカーテンを開けて、太陽の光を浴びることが大切です。私たちの体内時計は約25時間周期に設定されており、1日の24時間周期と1時間のずれが生じてしまうのですが、起床直後に日光を浴びることで体内時計がリセットされ、そのずれを調整することができます。
日光を浴びることで、眠りを誘うホルモン「メラトニン」の分泌が夜間に増えるため、質の良い睡眠へとつながります。
朝食をとることも快眠には必須条件です。朝食をとることでも体内時計がリセットされるので、体のリズムを整えるためにも、栄養バランスのよい食事が大切なのです。1日の活動を開始するために、エネルギー源となる炭水化物をはじめ、眠りを誘うホルモン「メラトニン」の原料となるタンパク質やビタミン・ミネラル類が豊富な朝食がおすすめです。毎日時間を決めて規則正しい食生活を送りましょう。
起床時間は一定に
日々の生活リズムが定まれば、ホルモン分泌や体の生理作用も安定して体内時計は正しく機能するようになります。体内時計が整えば、自然な眠気と質の良い睡眠が期待できるので、普段から規則正しい生活を心がけて体内時計が乱れないように注意する必要があります。
体内時計を乱さないためには、平日・休日を問わず起床時間を同じにすることが重要です。特に休日は気が緩んで遅寝遅起きをしたり、寝だめをしたりしがちですが、起床時間を一定にすることが快眠の秘訣となります。
ー朝型・夜型について詳しく知りたい方はこちらをご覧くださいー
2. 日中の昼寝は30分以内に
体内時計が正常であれば日中は活動サイクルに入りますが、昼にどうしても眠気を感じてしまうことがあります。
日中に眠くなる原因としては、夜更かしや半徹夜での睡眠不足、食事の影響、栄養バランスの偏り、ストレスや心配事、ホルモンバランスの乱れ、病気の一症状として現れるケースなど様々な場合があります。
特に昼食後は眠気が強くなる傾向があり、仕事や勉強などに集中しづらく効率が悪くなることもあるでしょう。昼に眠気を感じたら、無理をせず思い切って昼寝や仮眠をとるのが効果的です。短時間の昼寝はパワーナップとも呼ばれ、脳の疲労回復が図れて記憶力・集中力の向上が期待できます。
しかし長時間の昼寝や、就寝時刻と時間帯が近い場合は、目覚めが悪いうえ、体内時計が乱れやすくなり、夜に寝つけなかったり夜中に目覚めたりして、かえって眠りの質が下がりますので日中に昼寝をする場合は30分以内にするようにしてください。
【効果的な昼寝方法】
昼寝時間を決める |
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昼寝前にコーヒーやお茶を飲む |
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個室を暗くして昼寝する |
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昼寝の後に覚醒行動をとる |
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ー昼寝について詳しく知りたい方はこちらをご覧くださいー
3. ぬるめのお湯で入浴
入浴やシャワー浴は、疲労回復に効果的です。特に38℃から40℃までのぬるめのお湯に10〜20分ゆっくり浸かると、自律神経の副交感神経が優位になるため、心身ともにリラックスしやすくなります。反対に熱めのお湯の場合、交感神経が働くため、体が興奮、覚醒してしまい睡眠の質へ悪影響になりますので入浴の際はお湯の温度、時間に十分注意してください。
睡眠の質は、体温と深い関係にあります。人が活動をする昼間は体温が高くなり、夜に休養が必要になると体から熱を外に出して体温を下げます。夜間に眠る際には体温が低下することで自然な眠りへと入っていきます。この体温低下を促進するために、入浴により体温を一時的に上昇させることで、その後に自然と体温が下がっていくので、快適な眠りへとつなげることができるのです。入浴する時間については、寝る直前は避けて、就寝2時間前に入浴するのが快眠のためにはよいでしょう。
ー快眠のための入浴方法について詳しく知りたい方はこちらをご覧くださいー
4. 寝る前は体を興奮状態にしない
寝る前に体を興奮状態にしてしまうと、寝つきが悪く、眠りが浅くなるので夜中に目が覚めやすくなります。
また、熟睡感を得られなかったり、朝早くから目が覚めたり、朝起きられなかったりすることもあります。
就寝前に睡眠の質を下げるような行動は控えましょう。
【寝る前に避けるべきこと】
就寝直前の入浴 |
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過度な運動やエクササイズ |
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飲酒 |
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喫煙 |
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カフェイン摂取 |
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スマホ/タブレット/パソコン使用 |
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テレビや動画の視聴 ゲーム |
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【入眠儀式】
入眠儀式とは、寝る前に実施するとリラックスして入眠しやすくなるルーティン行動です。例えば、軽いストレッチ運動/ツボ押し/深呼吸などの快眠体操や瞑想をはじめ、自分に合ったやり方をいろいろと試してみてください。布団へ入っておよそ10~20分程度で寝つけるのが理想的です。入眠方法を自分なりに見つけてぜひ習慣化しましょう。
【快眠グッズ】
快眠グッズも様々なものがあるので自分にあったものを見つけると良いでしょう。枕は、高さ・硬さや素材によって多くの種類がありますので、店頭などで試して最適なものを選びましょう。旅行・出張用に販売されているネックピローは仮眠や昼寝グッズとしておすすめです。
他にも、持っていたり触ったりすると気持ちが落ち着くグッズは快眠に役立つと言われています。肌触りのいい毛布やタオルケット、お気に入りのぬいぐるみや抱き枕などは安心感を与えて、スムーズな睡眠を促す効果があります。
ー快眠体操について詳しく知りたい方はこちらをご覧くださいー
5. 睡眠環境を見直す
睡眠の質を良くするために睡眠環境を整えることも大切なポイントです。次の表を参考に寝室の環境や寝具を一度見直しして改善を図りましょう。
【寝室環境】
明るさ・光 |
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温度 |
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湿度 |
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空気 |
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その他 |
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【寝具】
マットレス |
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布団/毛布/シーツ/カバー |
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枕 |
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パジャマ |
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まとめ
日本人は平均睡眠時間が世界の中で最も短く、睡眠に関する不満や悩みが多いという調査結果があります。世界基準と比べて日本人の睡眠時間は約1時間短いという結果でしたが、睡眠時間に加え睡眠の質の改善も望まれます。紹介した快眠を目指すための5つのポイントである
- 朝に日光を浴び、朝食をとる
- 日中の昼寝は30分以内に
- ぬるめのお湯で入浴
- 寝る前は体を興奮状態にしない
- 睡眠環境を見直す
を普段から意識して取り入れ、睡眠環境を改善することで快眠が得られるようにしましょう。
ー寝すぎてしまう事について詳しく知りたい方はこちらをご覧くださいー
この記事の監修者
田口里奈
上級睡眠健康指導士
薬剤師
インテリアコーディネーター
医療従事者兼インテリアコーディネーター。
薬局勤務に加え、睡眠の質、生活の質向上を目指した論理的なインテリアコーディネート提案をオンラインで行っている。
睡眠/健康/暮らし系ライターとして大手検索サイト内等での記事作成やウェブメディア記事の作成協力も行う。