夜中に目が覚める原因と対策を解説!
眠れないことで悪影響も

夜中に目が覚めて眠れないことはありませんか?これは不眠症または不眠症予備軍の症状の一つ、中途覚醒の可能性があります。せっかく早めに眠りについても、しっかりと眠ることができない日々が続くと悩んでしまいますよね。では、なぜ睡眠の途中で目覚めてしまい、その後再入眠しづらくなってしまうのでしょうか。最近では若い世代にも増えている中途覚醒のいくつかの原因と、おすすめの対策方法についてご紹介します。

更新日:2024/11/15

夜中に目が覚める、中途覚醒の原因は?

中途覚醒 中途覚醒により夜中に目が覚めてしまう要因は何なのでしょうか。
一晩に3回~5回、脳波活動が活発になるレム睡眠と呼ばれる状態があります。その影響で目覚めても、その後すぐ寝つけるようであれば問題ありませんが、再入眠しようとしても覚醒してしまい、寝付けなくなる、すぐに目覚めてしまうなどの場合は、中途覚醒の可能性があります。似た症状に「早朝覚醒」がありますが、こちらは通常起床時間の30分~2時間前くらいに目覚めてその後入眠できなくなる症状です。
中途覚醒は、特に高齢者に多いとされてきましたが、最近では20代や30代の若い世代にも増えており、性別では男性よりも女性の方が多いといわれています。中途覚醒が起きる要因として考えられるものは、次のようなものがあります。

中途覚醒

ストレス

ストレス 夜中に目が覚めてしまう原因の一つには心理的なストレスが挙げられます。質の良い睡眠を得るためには、バランスのとれた自律神経の働きが重要となります。自律神経には交感神経と副交感神経の2つがあり日中には交感神経が優位に働くことによって活動的になり、睡眠時になると副交感神経が働きリラックスした状態で入眠します。ところが、日中に起きた仕事やプライベートの出来事でストレスを溜めてしまうと、交感神経が刺激され脳を興奮させてしまいます。このようにストレスが要因となり、睡眠の質が低下し、夜中に中途覚醒しやすくなってしまうことが考えられます。

ストレス

生活リズムの乱れ

光を浴びる 生活リズムの乱れが中途覚醒につながっている可能性もあります。人の体の中には体内時計と呼ばれるものがあり、朝起床時に光を浴びることによって体内時計が動き出し活動的になります。そこから14~16時間程度経つと今度は睡眠時に覚醒のリズムを調節してくれる「メラトニン」というホルモンが分泌されるようになります。このメラトニンが増えると眠気を感じるようになりますが、働いている時間や生活のリズムが不規則であると、体内時計が狂いやすくなり分泌量にズレが出てきます。例えば、夜勤や交代勤務が多い職種などの場合は、体内時計の進み方と反対になるため生活のリズムが乱れ、中途覚醒しやすい状況が作られてしまいます。

光を浴びる

うつ症状

うつ病の症状がある方は、中途覚醒の症状が出やすいといえます。うつ病になると、強いストレスや不安などをきっかけに、気持ちが落ち込んでしまう状態が続き、精神的な症状だけでなく、肉体的な疲労感や、動悸、食欲の変化などが症状としてあらわれることもあります。このような症状が起きるうつ病などの精神疾患は、自律神経が乱れやすくなるため、中途覚醒を含めた不眠症を伴うことがあります。
夜中に何度も目覚めることの他にも、熟睡できない、日中の眠気などの症状が起こることも少なくありません。うつ病に伴って服用している治療薬の影響で眠れなくなっていることも考えられるため、症状が気になる場合は早めに医師に相談することをおすすめします。

アルコール摂取の影響

アルコール摂取の影響も考えられます。眠れないときに、お酒を飲むと寝つきがよくなるといわれることがあり、確かに適量のアルコールによって寝つきが早くなる場合はあります。ですが、アルコール摂取後に肝臓で代謝されてできる「アセトアルデヒド」という物質は、深い眠りから浅い眠りに導きやすいとされており、入眠して3時間ほどで目が覚めてしまうこともあるため、睡眠の質を下げるというデメリットもあります。また、アルコールには利尿作用があるため、睡眠中にトイレに行きたくなり目が覚めることもあります。このように中途覚醒が起きやすい状況を作り出すアルコールの過剰摂取には注意が必要です。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群も原因の一つとして挙げられます。睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に上気道が狭くなり、一時的に呼吸が止まったり、止まりかけたりする状態を繰り返す病気で一晩の睡眠中に30回以上、あるいは1時間に5回以上の無呼吸がある場合は、睡眠時無呼吸症候群の疑いがあります。無呼吸は酸欠状態が続くため睡眠の質が低下しやすく、疲労が慢性化しやすくなります。睡眠時無呼吸症候群は、寝ている間の出来事であるため自分で気付きにくいですが、放置していると高血圧や心筋梗塞、脳梗塞を引き起こす危険性もあるので、無呼吸症候群が疑われる場合は、早めに専門の医師へ相談することをおすすめします。

周期性四肢運動障害

周期性四肢運動障害も原因の一つとして考えられます。睡眠運動障害の一種といわれる周期性四肢運動障害は、主に身体の下肢である脚がピクッとなる動きが繰り返し起こることで夜の睡眠を妨げてしまう症状です。周期性四肢運動障害になるのは、鉄分不足による貧血の場合や腎不全などの病気に伴う場合が多いとされています。眠っている状態で起こるため、比較的軽度の場合は自覚症状がないこともあり、家族やパートナーなどに指摘されて気付くことも多くあります。

夜間頻尿でトイレに行きたくなる

夜間頻尿 就寝中にトイレに行きたくなり1回以上起きる夜間頻尿も原因の一つとなります。夜間頻尿は、夜間に限らず1日の尿量が多い「多尿」と夜間にのみ尿量が多い「夜間多尿」に分けられます。
多尿の場合、水分の取り過ぎといった要因の他に、糖尿病などの病気の治療で服用している薬剤の影響も考えられます。夜間多尿の場合は、水分の取り過ぎやホルモンバランスの乱れの他に高血圧や心不全、腎機能障害などの病気による可能性もあります。特に65歳以上の高齢者は、日中に適正な尿量を排泄できなくなり、夜間に尿産生量が増加してしまうことがしばしばあります。

夜間頻尿

加齢が原因の可能性も

加齢が原因で夜中に目が覚めやすくなったり、寝つきが悪くなったりといった睡眠に対する関する問題につながる可能性もあります。その理由としては加齢に伴って、自然な睡眠を促す役割を持つメラトニンの分泌量が減っていくためといわれています。加齢とともに体内時計が徐々に変化していき、睡眠時間が短くなり、それとともに眠りの質も低下し浅い眠りが増加する傾向にあります。深い眠りが減ることによって、若い頃のようにぐっすり眠ることができず、夜中に目が覚めやすくなったり、起床時間が早くなったりするのです。

睡眠時頭痛

睡眠時頭痛も夜中に途中で目覚める原因として挙げられます。睡眠時頭痛は、睡眠時や起床時に起きる頭痛の総称としていますが、性質は様々であり、片頭痛など頭痛そのものによって引き起されることや、身体的もしくは精神的な病気、他の睡眠障害などによってあらわれることがあります。日中だけでなく眠っているときにも頭痛が起きる方、睡眠時のみに頭痛が起きる方の2つの場合があります。

夜中に目が覚める(中途覚醒)の対策 

ストレス、生活リズムの乱れ、食習慣の乱れ、加齢によるもの、病気の可能性など夜中に目が覚めてしまう原因をご紹介しましたが、中途覚醒の対策としてはどのようなものがあるのでしょうか?夜中のつらい中途覚醒を避けるために、ここではすぐに実践できる対策案や快眠アイテムについて、次の6点を例に挙げて順番にご紹介していきます。

  • 昼寝は短めに
  • 就寝直前は食事をしない
  • 温かい飲み物(ホットミルクやハーブティー)を飲む
  • 睡眠リズムを整える
  • 就寝前に画面を見ない
  • 睡眠環境を整えて質の良い睡眠を

昼寝は短めに

15~30分程度の短い時間の昼寝は睡眠のリズムを整え、疲労回復や脳をスッキリとさせ作業効率を上げるなどの効果があり、中途覚醒の対策になるといわれています。実際に日中に眠気が生じないようにするために、休憩時間などを使って昼寝をする方も多いでしょう。体温や代謝が上昇するお昼ごはんの後から15時までの間で昼寝をするのがおすすめです。15時以降の睡眠は逆に体内時計が乱れてしまい、夜の睡眠にまで影響を与えてしまう恐れがあるので、昼寝をする時間と長さには気を付けましょう。

ー昼寝の取り方について詳しくはこちらをご覧くださいー

就寝直前は食事をしない

うどん 就寝直前は食事をしないようにすることも大切です。寝る直前に食事をすると、消化するために深部体温が上がり、脳も身体も興奮状態になって眠りにつくことが難しくなります。睡眠も浅くなりやすく、夜中に目が覚めてしまうことへつながります。特に肉類や揚げ物などは消化に時間がかかるため、寝る直前には避けるのが良いでしょう。食事は就寝する3時間前までに済ませておくことが理想ですが、仕事の都合で遅くなってしまうこともあるかもしれません。そのようなときは野菜スープやうどんなど、なるべく胃に負担がかからないような食事を選ぶようにしましょう。

うどん

温かい飲み物(ホットミルクやハーブティー)を飲む

温かい飲み物を飲むことも対策の一つです。

ホットミルクやハーブティーなどの温かい飲み物は身体を内部から温める効果やリラックス効果があり、ぐっすり眠るのに大切な、副交感神経を優位にします。ホットミルクやハーブティーなどの準備が難しい場合は白湯でも構いません。ただしコーヒーやお茶などのカフェインを多く含む飲み物は覚醒作用があるとされており、寝る前に飲むと夜中に目覚めやすくなるだけでなく、入眠しづらくなってしまう可能性もあるためなるべく避けたほうが良いでしょう。

睡眠リズムを整える

生活習慣の乱れ 睡眠リズムを日頃から整えておくことも中途覚醒の対策になります。規則正しい生活習慣は、熟睡しやすくなるリズムをつくるだけでなく、日中の眠気を防ぐことにもつながります。夜遅くまで起きていたり、就寝時間が不規則だったり、食事をするタイミングがいつも違うなどの生活習慣の乱れは睡眠にも影響を与えます。日中は明るい環境で活動的に過ごし、夜になったら部屋の灯りを間接照明などに切り替えてリラックスして過ごすなど、1日の睡眠・覚醒リズムをできるだけ整えていくことが大切です。

生活習慣の乱れ

就寝前に画面を見ない

就寝前に画面を見ない 就寝前にスマートフォンやパソコン、テレビなどの画面を見ないことも大切です。これらの画面から発せられるブルーライトによりメラトニンの分泌が抑制されて興奮状態になるため、入眠の妨げや中途覚醒につながりやすくなります。少なくとも就寝の30分前からは画面を見るのをやめてください。入浴した後や、寝室に入ったら見ないようにするなど、無理のない範囲で習慣化すると続けやすいかもしれません。

就寝前に画面を見ない

睡眠環境を整えて質の良い睡眠を

中途覚醒を防ぐためには、生活習慣の改善に加えて睡眠環境を整えて質の良い睡眠をとることも大切です。例えば、遮光カーテンを付けて外からの光を避けたり、暑い、寒いなど不快感がある場合は、エアコンや扇風機などを使って室内の温度や湿度を調整したり、よい睡眠を導くために自身に最適な寝具を活用するなどしてリラックスするのが良いでしょう。フランスベッドでは、心地よい眠りに導くための様々な寝具を取り扱っています。枕をはじめ、おすすめの快眠グッズもチェックしてみてください。

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眠れないことがストレスになり悪化することも

不眠 中途覚醒が数週間続くと「自分は不眠症なのでは?」と不安に思うかもしれません。眠れなかった当初の原因は仕事などの悩みだったはずが、いつの間にか不眠そのものをストレスに感じて眠れなくなってしまうこともあります。不眠症の治し方で頭がいっぱいになり、「この快眠方法を試せば、必ず眠れるようになるはず」と過敏になり、不眠が悪化してしまう可能性があります。快眠方法を取り入れる際は、「自分のリラックスタイムの習慣になったらいいな」という程度にして、ストレスを溜めないように心がけることも大切です。

不眠

糖尿病やうつ病のリスクが上がることも

中途覚醒を繰り返していると慢性的な寝不足の状態に陥り、睡眠リズムや体内時計が乱れるため、高血圧、糖尿病などの生活習慣病になるリスクが高まることもあります。中途覚醒によりしっかりと眠れていない状態が続くと、日中に疲労や倦怠感などを引き起こしやすくなることから、うつ病になるリスクも上がるといわれています。睡眠不足や寝すぎなどの状態が続くと、こうした病気になるリスクが高まることをしっかりと知っておき対策をするようにしましょう。

夜中に目覚めてしまったら

心地よい音楽を聴く 夜中に目覚めてしまった場合は、まずはゆっくり深呼吸をして心を落ち着かせましょう。ツボ押しや、体の負担にならないような軽いストレッチなどを行いリラックスすることも大事です。ツボ押しやストレッチは、筋肉を緩めて血流を良くするだけでなく、自律神経を整えてくれるので入眠しやすくなるというメリットもあります。その他にもストレスを軽減させる効果がある睡眠用のサプリなども市販されています。一度ベッドを離れてみて心地よい音楽を聴いたり、脳を興奮させないような本を読んだりして穏やかに過ごしてみるのも良いでしょう。例え眠りにつけなくても、思い悩まずに、自分に合ったリラックス方法を見つけていくことが大切です。

心地よい音楽を聴く
ー眠くなる方法について詳しくはこちらをご覧くださいー

まとめ

中途覚醒は高齢者だけでなく、10代~40代にも増えてきており、ストレスや生活リズムの乱れなど様々なことが原因になって起きていると考えられます。不眠を解消するためのポイントは、心も体もリラックスモードにさせることです。ご紹介した中途覚醒の対策を試したり、自分に合った寝具を選んだりして睡眠の質を改善していきましょう。とはいえ、あまり神経質になると眠れない状態を余計にストレスに感じてしまい、日中の生活や仕事のパフォーマンスに影響が出てしまう可能性もあります。気にしないようにしていたら自然に不眠が治ったということもありますので、ゆったりとした気持ちを持つことも大切です。

快眠デザイン研究所 代表 古泉典彦

この記事の監修者

快眠デザイン研究所 代表 古泉典彦

大学卒業後、呉服チェーン店に入社。
入社半年で、1,500万を売上、新入NO.1になる。
その後、長崎へ帰郷。
家業の寝具店をオーダーメイド枕や、マットレスを扱うこだわり寝具専門店「眠り屋」へ業態を転換し業績を回復させる。
2019年2月「人にさらなる快眠を」という想いから快眠デザイン研究所を設立、独立。
楽しく・参加でき・成果が出る睡眠研修を全国各地で実施している。