首が痛い時、負担がかからない
楽な寝方は?

健康な身体を保つには、良質な睡眠が不可欠です。
しかし、首の痛みがあると、その不快感が眠りに影響を及ぼし、眠りが浅くなったり寝てもなかなか疲れが取れなかったりします。そこで、こちらでは首の痛みの原因を解説した上で、楽な寝方や、首が痛い時に役立つ寝具、首の痛みの予防に役立つ寝る前のストレッチなどについてご説明します。

更新日:2023/12/1

つらい首の痛み、何が原因?

1日中デスクワークをしていて首がこわばってガチガチになることや、朝起きた時に首に痛みを感じることはありませんか?マッサージをすれば一時的に楽にはなるけど、またすぐに首が痛くなるといった場合には、何が原因かを突き止めた上で改善することが大切です。どのようなときに首の痛みが出るのか、3つの原因について紹介します。

1. ストレートネックによる日常的な首の痛み

ストレートネックは、日常的な首の痛みの原因の1つです。

ストレートネックとは、本来あるべき頸椎(けいつい)のゆるやかなカーブがなくなり、まっすぐになる状態のことで、スマートフォンやパソコンを操作するときにのぞき込むように首が前に出る姿勢が長時間続くことが原因となるため、スマホ首とも呼ばれています。

ストレートネックは神経が圧迫されるため、首の痛みや頭痛、肩こりなどを引き起こしやすくなります。

また本来は体内で酸素や栄養素を運び、同時に老廃物や疲労物質を運び出す役割がある血液の機能が、ストレートネックによりうまく働かなくなり、その結果、悪化すると手足の痛みやしびれ、めまいなどの症状が現れることもあります。

2. 寝違えによる首の突発的な痛み

寝違えは突発的な首の痛みの原因となることがあります。

寝違えとは、朝起きた時に筋肉や神経に違和感や痛みを感じる状態のことで、睡眠中に首や肩が不自然な位置になることで首や肩の筋肉が緊張し、血流やリンパの流れが悪くなることで引き起こされます。

寝違えが起こる原因のひとつに、枕の高さや硬さ、大きさなどが適切でないことが挙げられます。枕が身体に合っていないと、首や肩が正しく支えられなくなり、寝ている間に不自然な角度になることで、寝違えが起こりやすくなります。

また、過度な運動などにより筋肉の疲労があるときに睡眠中に筋肉の緊張が増加し、寝違えが発生する場合や冷房の風が直接首や肩に当たることで筋肉が冷えて緊張しやすくなり、寝違えが生じる場合などもあります。

3. 交通事故など強い衝撃による首の痛み(むちうち)

交通事故などの強い衝撃によって首の痛みが出ることもあります。

この痛みは、首がムチのように前後にしなることによっておこるため、むちうちという通称で呼ばれる、頸椎捻挫のことです。実際に診断を受ける際は、医師から「外傷性頚部症候群」や「頸椎捻挫」と伝えられることが多いでしょう。最も多い原因は交通事故ですが、それ以外にもスポーツ中の衝突や転倒による衝撃などがあります。

交通事故の場合では、後ろから追突されて首や背中に強い衝撃が加わることで、首の関節や筋肉、皮下組織や血管、末梢神経などが損傷してむちうちになります。
むちうちになると、首の痛み、背中や腕の痛みの他にも頭痛、耳鳴り、めまい、吐き気、体のだるさ、力が入りにくいなどの症状が現れます。

首の痛みには、動かすと痛みが出る「運動痛」や、押すと痛む「圧痛」、何もしていなくても痛む「安静時痛」などが見られます。中でも安静時痛は、首が痛くて眠れないなど、睡眠へ影響を及ぼす場合があります。

首が痛い時の楽な寝方

首が痛みが睡眠の質に悪影響を及ぼすこともあります。

首の痛みでなかなか寝付けなく、やっと寝付いても痛みで目が覚めてしまうといったこともあるでしょう。

また、寝ている時の姿勢が悪いと余分な負荷が首にかかってしまい、さらに首の痛みが悪化する場合があります。

ここでは首の痛みを軽減し、質の良い眠りを確保するための楽な寝方を仰向けで寝る場合と、横向きで寝る場合それぞれで紹介しますので参考にしてください。

仰向けで寝る場合のポイント

仰向けで寝る場合のポイントは枕の高さにあります。枕が高すぎたり低すぎたりすると、頸椎が圧迫されて首に負担がかかります。枕の高さを首の高さに合わせることは首への負担軽減に効果があり、枕の高さを調整するだけで楽に眠れるようになることがあります。特に、後頭部が高すぎると頸椎への圧迫により首の痛みが引き起こされやすくなるため、慎重な調整が必要です。また、首の部分が高すぎる場合は首の筋肉に負担がかかるだけでなく、あごが上がり口呼吸につながることもあるため注意が必要です。

反対に枕が低すぎる場合でも、頭が安定しにくいために首に負担がかかります。枕の高さを調整する際には、仰向けで首を左右に動かした時に痛みを感じないか、首が浮いていたり、違和感があったりしないか、スムーズに呼吸できるかなどに注意して行うようにしてください。

バスタオルなどを使って適切に枕の高さを調整すれば、寝るとき首に力が入るのを防いで快適な睡眠を得られるでしょう。

横向きで寝る場合のポイント

横向きで寝る場合には、背骨と首が一直線になるように枕の高さを調整することがポイントです。

枕が高すぎると首にかかる負担が大きくなり、楽に眠ることができないので注意しましょう。

仰向けで寝る時と同じように、バスタオルなどで高さを調整すると良いでしょう。

横向きで寝る時に腕を枕にする方が多くいますが、首に痛みがある場合は腕を枕にすると背骨と首が一直線になる理想的な姿勢が崩れる可能性があるため避けた方がいいでしょう。同時に、肩に負担がかかったり、脇の下の神経を圧迫したりして、肩や首に痛みやしびれが出ることもあるので注意が必要です。

すでに寝違えてしまっている場合は、首の左右どちらかの痛みがある方を下にして横向きの姿勢をとって寝ると良いでしょう。痛みのない方を下にすると、痛い方の筋肉が伸びやすくなり負担がかかるので注意してください。

首に負担がかかる寝方とは?

首が痛い時の楽な寝方をご紹介しましたが、反対に、首に負担がかかってしまう寝方とはどのような寝方でしょうか?負担がかかる寝方をしないためにも覚えておいてください。

1つ目は、うつ伏せ寝です。うつ伏せの姿勢で寝ることは、首が左右どちらかにねじれる形になってしまうため、首の関節や筋肉、皮下組織や血管、末梢神経などにかかる負担が大きくなり、首の痛みがある場合は悪化する可能性があります。

2つ目は、腕を枕にして寝ることや、枕の下に手や腕を入れて寝ることです。自分の腕を枕代わりにすると横向きの寝姿になりますが、これは背骨と首が一直線になる理想的な姿勢を崩してしまうことになるからです。また、枕の下に手や腕を入れて寝ることは、癖ではなく枕が合っていないために起こる行動で、首のこりや肩こりの悪化、手や腕のしびれを引き起こす可能性があるため避けましょう。

3つ目は、体に合わない寝具の使用です。寝具は体に合わないと首の痛みや睡眠の質の低下、腰痛などの問題を引き起こす可能性があります。枕やマットレスは、体に合わせた適切な高さや硬さがあるものを選ぶことが重要です。

首が痛い時に役立つ寝具

首が痛い時に役立つ寝具とはどのようなものでしょうか?

首が痛い時に役立つ枕とマットレスについてご紹介しますので、首の痛みの軽減や首の痛みが起こらないための最適な寝具選びの参考にしてみてください。

枕は頭を支えるだけでなく、首を正しく支えるという役割があります。

高さや硬さが合わない枕を使用してしっかりと首を支えられない場合、首の痛みや肩こり、不眠やいびきの原因となることもあります。

体に負担をかけない良い寝姿勢を実現するには、枕は首筋から肩口にかけたS字のカーブをサポートし、カーブのすき間を埋めることが重要となりますので首の痛みが続く場合、枕を見直す必要があります。

まずは枕の高さや大きさをチェックしてみましょう。枕が高すぎると頭が上にあがるので首や肩に負担がかかり、気道の圧迫にもつながるのでいびきもかきやすくなります。枕が低すぎても、呼吸がしにくい、首を痛めるなどの影響があります。高すぎず低すぎず、横向きになっても対応できる、中央が低くて両サイドが高めになった形状が理想的です。

大きさは、自分の頭3つ分が理想といわれており、肩口までカバーできる奥行きがあるものが良いでしょう。

また、実際に使いながら調整できるよう、自分で高さ調節のできる枕を選ぶことをお勧めします。

マットレス

マットレス選びも重要です。特に重要なのが体圧を分散させて部分的な落ち込みを防ぐマットレスを選ぶことです。睡眠中、体には大きな圧力(体圧)がかかっています。体圧を分散できないと、体に部分的な圧力がかかることによって血流が悪くなり、首や腰の痛みが起こることがあります。

痛みがあると良い睡眠もとれなくなるので、結果的に身体全体への負担につながってしまいます。

フランスベッドの高密度連続スプリング®マットレスは、身体を広い面全体でしっかりと支え、効率よく体圧を分散します。背筋が伸びて一直線の状態眠ることができるので、身体への負担を軽減することができます。また、良い睡眠をとるために重要な「寝返りのしやすさ」にもこだわって設計されています。

寝心地は個人の好みによるところも大きいため、ショールームなどで実際に試して自分に合ったマットレスを選ぶのが良いでしょう。

寝る前のストレッチで首の痛みを予防しよう

寝る前にストレッチをすることで首の痛みの予防になります。

ストレッチを行うと、血流が良くなって筋肉や周辺組織の血流量が増え、酸素や栄養素が筋肉にスムーズに運ばれるので疲労回復になります。日中のデスクワークなどで長時間同じ姿勢を続けている方は、首や肩、背中の筋肉が凝り固まっている場合がありますので、ストレッチを行い筋肉のこわばりを和らげるようにしましょう。

例えば、椅子に腰掛け、大きく息を吸って両手を上に伸ばして上体を前に倒し、息を吐いて体を起こす運動を5回ほど繰り返す「バンザイストレッチ」は全身の血流を良くするのでおすすめです。

まとめ

首の痛みの主な原因には、ストレートネック、寝違え、むちうちなどがありますが、仰向け寝、横向け寝のそれぞれの場合における正しい寝方に気をつければ痛みを和らげることもできます。また、枕の高さの調整、体圧分散の優れたマットレス選びなど、使用する寝具によっても首の痛みの緩和や予防につながりますので適切な寝具選びを心掛けましょう。就寝前にはストレッチを行うなど、全身の血流を良くして筋肉のこわばりをほぐし、首の痛みを予防することも重要です。

この記事の監修者

友野なお

睡眠コンサルタント / 株式会社SEA Trinity代表取締役
千葉大学大学院 医学薬学府 先進予防医学 医学博士課程
順天堂大学大学院 スポーツ健康科学研究科 修士
日本公衆衛生学会、日本睡眠学会、日本睡眠環境学会 正会員

自身が睡眠を改善したことにより、15kg以上のダイエットとパニック障害の克服に成功した経験から、科学的に睡眠を学んだのち、睡眠の専門家として全国にリバウンドしない快眠メソッドを伝授。著書に「眠れないあなたを救う睡眠ファースト」(主婦の友社)など多数発売され、韓国・台湾・中国全土でも翻訳され発売されている。眠れると話題の「ぐっすり眠れる不思議な塗り絵」(西東社)は9シリーズ発売されるほどの人気。