うつ伏せ寝は快眠できる?
メリット・デメリット、快眠のコツは?

眠りに入る時や寝ている時の姿勢は個人によって差がありますが、大きく分けると仰向け・横向き・うつ伏せの3タイプです。この中で今回はうつ伏せ寝について取り上げます。
うつ伏せ寝は胸部が圧迫される体勢で、特に赤ちゃんや高齢者は窒息する原因になるため危険だと考えられています。大人でもうつ伏せ寝が習慣になっていて、うつ伏せの姿勢でないと寝られないという方もいますが、赤ちゃんや高齢者同様に健康面のリスクを考慮する必要があるのでしょうか?
うつ伏せ寝について、快眠できるかどうか?どんなメリットとデメリットがあるのか、また仰向け寝のメリット・デメリットにも触れ、快眠に導くためのコツなど詳しくご紹介します。

更新日:2024/3/6

うつ伏せ寝のメリット

1. お腹が温まり安心感を得られる

布団の上でうつ伏せうつ伏せになって寝ると、お腹の前部が敷布団などと接触して温かみが増し安心感を得られるので、落ち着いた気分で入眠することができます。
また自分を守りたいという人間の防衛本能により、急所である身体の前面を隠そうとする行為が無意識に表れると考えられているのが、睡眠時のうつ伏せ寝です。ストレスが蓄積していたり不安感を抱いていたりするとき、自然とうつ伏せに寝になってリラックスを図っていることもあるでしょう。

布団の上でうつ伏せ

2. 呼吸が楽になり、いびきが軽減する

仰向けの姿勢で寝ると、舌が重力で降下して気道が狭くなるのでいびきや無呼吸が発生しやすくなると言われています。一方、うつ伏せ寝の場合は、胸部が敷布団などに密着して横隔膜が下がるため、下腹部が膨張しやすく腹式呼吸を保つことができ、呼吸がしやすくなります。気道を狭めることなく楽に呼吸することができるため、結果としていびきの軽減につながるといわれています。

うつ伏せ寝のデメリット

1. 首と神経に負担がかかる

自分の腕や手の上に顔をのせる枕や布団の上でうつ伏せ状態になった場合は、顔を真下に向けると息苦しいため、右または左方向に首をひねる(回旋)姿勢になるか、自分の腕や手の上に顔をのせる形となります。このため睡眠中に首の神経を引っ張ったり押しつぶしたり、腕や手の神経を圧迫するので、首の痛み・コリやしびれ、腕や手の痛みやしびれが発生してしまいます。
さらに顔が歪んだ状態で、長時間同じ姿勢のままで眠ることは顔に負担がかかり、顎や歯並びにも悪影響を及ぼす恐れがあります。

自分の腕や手の上に顔をのせる

2. 反り腰になり腰痛の原因になる

脚を伸ばした状態仰向け姿勢と比べ、うつ伏せ寝は腰痛の原因になると考えられています。
うつ伏せ寝をする際に脚を伸ばした状態にすると、腰付近のインナーマッスル自体も長い時間伸ばし続けた状態になるため、起き上がっても反り腰の状態が続くなど背骨に負担が加わり、腰痛が生じてしまいます。
マットレスや敷布団の硬さによっても腰痛をさらに悪化させてしまうので、寝具選びには気をつけるようにしてください。一方で、うつ伏せで眠ることは肩の筋肉を伸ばすことにもつながるため猫背矯正になるとも言われています。

脚を伸ばした状態

仰向け寝のメリット

1. 体にかかる圧力を分散できる

仰向けに寝る仰向けに寝るメリットの一つが、体圧を分散できることと言われています。体格に合った寝具(マットレスや敷布団)であれば、寝具と体との接地面が広く、体の一部分だけに圧力や負荷がかかることがありません。血流の滞りも少なく、むくみや血栓の防止ができ、疲労回復にも役立ちます。体に余計な力が入らずに済み、体温もうまくコントロールでき、寝返りがスムーズに打てます。また枕や寝具に顔が触れないので、衛生的でシワや吹出物を防止できます。また、仰向けで寝ることで胃酸の逆流などを防いだり、逆流性食道炎の予防にもつながります。

仰向けに寝る

2. 理想的な姿勢を保てる

睡眠中の仰向け寝は、きれいな立ち姿勢のまま横になった状態を維持できる理想的な寝姿です。仰向け寝の特徴として、寝ている間に体へ与える負担が最小限で済むことが挙げられるため、首・肩や背骨などの体の歪みがなくまっすぐキープできる健康的な姿勢と言えます。
ただし寝具の選び方次第では、寝姿の効果が大きく左右されますので、枕やマットレスは首や背骨が自然にカーブし、呼吸しやすい状態になるものを使用するようにしましょう。

仰向け寝のデメリット

1. いびきが多い人や睡眠時無呼吸症候群の方はNG

仰向け寝の場合、重力で舌がのどの方向へ下がり落ち、気道が塞がりやすくなる傾向があります。その結果、いびきがひどくなるだけでなく、睡眠時無呼吸症候群のリスクがあり、場合によっては医師の診断を受けて継続的な治療が必要になります。枕のタイプによっては、気道が一層狭くなりいびきが激しくなる可能性があるため、選び方に配慮しなくてはいけません。

快眠のカギは寝姿勢と寝返りのしやすさ

最適な寝姿勢は個人によって異なります。どのような寝姿勢でも共通する、快眠のために重要なポイントは、いかに寝返りが打ちやすいかという点です。
寝返りがうまく打てないと、体の一部に負担がかかり圧迫され、血行不良が起こりやすくなります。そのため睡眠リズムが乱れて体調不良を招きかねません。疲労感が続く、熟睡できない、スッキリ覚醒しないなどの睡眠トラブルを感じているなら、スムーズな寝返りが打てているかを確認するとよいでしょう。
寝返りによる大切な4つの効果は、体圧の分散、血行促進、体温調節、熟睡のために最も必要な布団の中の湿度調整です。
寝返りの回数としては、一夜で約20〜30回が理想的と言われています。寝姿勢と寝返りのしやすさを考えてつくられた寝具を選ぶことで、睡眠の質を高めていきましょう。

うつ伏せ寝がおすすめできない理由

うつ伏せ寝幼い頃からうつ伏せ寝で慣れている人がすぐに寝姿を変えることは難しいですし、個人差がありそれぞれ好みが異なるため、一概にどのような寝姿が適していると断言はできませんが、体に与える負荷を考えると、うつ伏せ寝はできればおすすめしたくない寝姿です。
首や肩、腰、神経に大きな負担がかかるため、痛みやコリ、しびれにつながる危険性があり、うつ伏せ寝は寝返りが打ちにくく、睡眠の質も他の姿勢より劣りやすいと言われます。
もしも最近うつ伏せ寝が増えて熟睡できないと自覚しているなら、寝具が適していないことが原因かもしれませんので、睡眠の質をよくする寝具を検討してみてもよいでしょう。

うつ伏せ寝

うつ伏せ寝のデメリットを軽減できるアイテム

寝具・マットレス・枕睡眠時に寝返りが打ちにくい場合は、自分に合わない寝具を使っている恐れがあります。
まずは日常的に使用している寝具を確かめましょう。硬すぎず柔らかすぎないマットレス・敷布団や、高すぎず低すぎない枕など自分に合った寝具がおすすめです。
もし自分に適した寝具がわからない場合は、専門家にぜひご相談ください。
なお、うつ伏せ寝が習慣化している方は、「体圧分散機能」を備えたマットレスなど横向き寝に対応できるアイテム等を利用してみましょう。

寝具・マットレス・枕
ー快眠グッズについて詳しく知りたい方はこちらをご覧くださいー

まとめ

仰向け・横向き・うつ伏せの3つの寝姿から、今回は、うつ伏せ寝、仰向け寝のメリット・デメリットについて詳しく説明してきました。きれいな姿勢が維持できて寝返りしやすい仰向け寝と違い、どうしても首・肩、腰や神経に負荷がかかるうつ伏せ寝はあまり推奨できません。幼少期からうつ伏せ寝を習慣にしている、最近うつ伏せ寝が多くなったとお気づきの場合は、無理やり寝姿を改善しようとせずに、寝返りが打ちやすい寝具や快眠グッズなどを活用するのが快眠の方法としておすすめです。

ー寝相について詳しく知りたい方はこちらをご覧くださいー
快眠デザイン研究所 代表 古泉典彦

この記事の監修者

快眠デザイン研究所 代表 古泉典彦

大学卒業後、呉服チェーン店に入社。
入社半年で、1,500万を売上、新入NO.1になる。
その後、長崎へ帰郷。
家業の寝具店をオーダーメイド枕や、マットレスを扱うこだわり寝具専門店「眠り屋」へ業態を転換し業績を回復させる。
2019年2月「人にさらなる快眠を」という想いから快眠デザイン研究所を設立、独立。
楽しく・参加でき・成果が出る睡眠研修を全国各地で実施している。