眠りの疑問 -睡眠について- SLEEP FAQ
Q
寝相が悪い原因と治し方のポイントとは?
更新日:2023/09/28
A
「朝起きたら枕がベッドから落ちていた……」
「あれ?布団をかけて寝たはずなのに……」など
寝相についてのお悩みを抱えている方は多いかもしれません。実は寝相と睡眠の質には密接な関係があるのです。寝相を改善すれば睡眠の質が高くなるのでしょうか?
ここでは寝相と睡眠の質の関係性について解説していきます。
そもそも寝相とは?
寝相とは、寝ているときの姿勢、寝姿勢のことで、理想的な寝姿勢は、背筋が伸びた状態で眠ることです。
眠りの浅いレム睡眠のときに寝相が悪くなりやすく深い眠りをとれていない可能性があります。あまりに寝相が悪いと、寝違えてしまうなどのリスクも高まりますので注意が必要です。
一方で寝返りをすることには血液の流れが悪くならないようにする、寝床の中の温度や湿度を整えるなど寝心地の良さへとつながる大切な役割があります。
寝相が悪い原因とは?
睡眠時に身体が動く、寝返りを頻繁にするなど寝相が悪くなりやすいのは浅い睡眠のときということでしたが、なぜそのように寝相が悪くなるのでしょうか?寝相が悪くなるいくつかの原因と、その理由について解説します。
寝室の環境が適切ではない
寝室の環境が適切でないことも寝相が悪くなる原因かもしれません。例えば、寝室の部屋が明るすぎることが一例として挙げられます。部屋が明るいと、メラトニンというホルモンの分泌量が減ってしまい、なかなか寝付けない、あるいは眠りが浅くなることがあります。その他にも、室内の温度や湿度が適切でないと過度に寝返りを打ったり、布団を蹴ってしまったりすることもあるでしょう。また、周囲の騒音が原因でスムーズに入眠できず寝相が悪くなっているかもしれません。このように寝室の環境が適切ではない場合は改めて見直してみるようにしましょう。
寝具が身体の負担になっている
寝具が身体の負担になっていることが原因の場合もあります。普段使用している寝具が身体に合っていないと寝ているときに負担がかかるので眠りが浅くなり、寝相が悪くなります。例えば、硬すぎるマットレス、沈み込みすぎてしまうマットレスなどを使っている場合は、寝るときの姿勢がとりにくく、良質な睡眠の妨げになっている可能性があります。また、マットレスだけでなく、枕の高さなどが原因の場合もあります。高さが合わず姿勢が悪い状態で寝ていると心地悪さを改善しようとして動いてしまうのです。身体に合わない寝具を使っていると、寝相が悪くなるだけでなく、気付かない間に疲労やストレスを蓄積させてしまっているかもしれません。
体の病気による影響
病気による影響が原因の場合もあります。例えば、腰痛などの持病があると症状を和らげるために身体の向きを変えようとするので、これが寝相に影響している可能性もあります。身体にかかる圧力を分散させるための適度な寝返りはバランスの良い睡眠には不可欠ですが、腰痛や肩こりなど痛みを伴っていると、過度に向きを変えすぎて眠りが浅くなってしまっているおそれがあります。腰痛や肩こり以外にも関節リウマチ、アトピー性皮膚炎、皮膚掻痒症などさまざまな基礎疾患から、睡眠時に呼吸が苦しくなる、手足をバタバタと動かすなどして寝相が悪くなっている可能性があります。
ストレスや不安
ストレスや不安が寝相の悪さの原因の場合もあります。ストレスは、自律神経が乱れやすくなる原因の一つで、自律神経は、日中活動的になるときに優位になる交感神経と睡眠時にかけて優位になる副交感神経の双方がバランス良く働きながら構成されています。精神的なストレスや、不規則な生活を送っていると、この自律神経のバランスが崩れやすくなります。その結果として眠りが浅くなり寝相に影響を与えている可能性があります。ストレスや不安を感じないように状態をリラックスさせて眠ることで良質な睡眠をとるように心がけましょう。
寝相が悪いときに考えられる病気の可能性
眠っているときに寝返りをする回数が過度に多い、あるいは寝相がひどい場合などは病気が潜んでいる可能性も考えられます。どのような病気が寝相の悪さにつながるのか病気の種類とその特徴について解説します。
-
睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に何度も10秒以上呼吸が止まった状態になる場合は、睡眠時無呼吸症候群の疑いがあります。いびきをかきやすい方、日中に眠気や倦怠感を感じる方、またメタボリック・シンドロームや高血圧といった症状がある方は、睡眠時無呼吸症候群になりやすいと言われています。この症状は眠りが浅くなり、日常生活でも支障をきたす場合もありますので思い当たる方は、まずは検査をおこなってみてください。
関連リンク:無呼吸症候群の原因から検査方法まで徹底解説!
-
レム睡眠行動障害
睡眠中に、夢の中での出来事と同じ行動をとってしまう病気をレム睡眠行動障害といいます。レム睡眠の通常の状態では、緊張した筋肉は緩んだ状態にあるため動くことはありません。しかし、レム睡眠行動障害では、この状態に障害が起きてしまいます。大声での寝言や、手足を大きく動かす、ときには起き上がって歩き出すなど激しい動作をします。原因は明らかでないこともありますが、多くの場合は中枢神経に関する疾患があるときに、この症状が見られます。
-
むずむず脚症候群
むずむず脚症候群とは夕方から就寝時にかけてむずむずとした感じや、痛みを伴うなど下肢を中心に不快感が起こる病気です。起きて活動的になっているときはこの症状を感じることは少なく、じっとしている状態のときに出現します。また、周期的に足がピクピクと痙攣しているような症状になることもあり、その不快感から安心して眠ることができずに睡眠が浅くなってしまいます。むずむず脚症候群は、鉄欠乏症貧血や、腎不全による人工透析を受けている方に多く見られる病気であるとされています。
病気の可能性がある場合に病院に相談するタイミング
病気の可能性を感じ、通院する際は症状が1か月続いている、週3回以上症状が起きるなどを目安に具体的な症状を説明できるようにして相談しましょう。
就寝時の症状のため自分自身で判断ができないこともありますので、家族やパートナーに寝相の特徴を聞いてみる、動画で記録を残すなど自身で状況を確認してから病院に行くのも良いでしょう。ただし、症状がつらいと感じているのであれば、すぐに専門の病院を受診するようにしましょう。
子どもの寝相が悪いのは健康な証拠?
子どもの寝相が悪くて心配になる方もたくさんいると思います。子どもは、体温調整が未発達のため、少しの室温の変化で寝返りが多くなりやすい傾向にあります。また、鼻づまりを起こしたときなどは、口呼吸がうまくできず寝返りが増えてしまうこともあるでしょう。
子どもはレム睡眠の頻度の多さも寝相が悪くなる原因の一つとして考えられています。大人はレム睡眠とノンレム睡眠が切り替わる時間がおよそ90~120分と言われていますが、子どもはおよそ40~60分と短く、レム睡眠の割合が大人よりも増えることから、途中で何回も目覚める、寝相が悪くなるなどしやすいのです。子どもの寝相は、成長過程の一環としても考えられているため、過度に心配する必要はありませんが、睡眠時無呼吸症候群や、アレルギー性鼻炎などの病気が原因で寝相が悪くなっているおそれもあります。
寝具の調整や室内環境を整えても、症状が改善されずに悪化する場合には医療機関で相談しましょう。
寝相を良くする方法とは?
寝相を良くするにはどのような方法があるのでしょうか?
まず寝相の悪さや、眠りが浅いことに悩んでいる方は、睡眠時の室内環境や使用している寝具など、改めて次の6つをチェックして良質な睡眠のための環境を整えましょう。
-
寝室の温度を適正に保つ
深い睡眠を実現して寝相を改善するためには、まず寝室の温度を睡眠に適した温度に調整しましょう。日本は四季があるので室温は外気温に影響され季節ごとに変化します。気持ちよく眠れる適切な室温の目安としては夏場で28℃以下、冬場で10℃以上と言われています。この寝室温度を保つために布団の中を快適な温度に保つことを心がけてください。布団の中の快適な温度は32~34℃が目安となり、湿度は50%~60%にしておくことが理想的です。
夏場にエアコンを使用する際は、除湿運転にするなど室内の温度調整だけでなく、湿度にも気を配ることが大切です。つけっぱなしが気になる方はタイマー設定などで調整しましょう。
冬場は特に乾燥しやすくなり湿度が下がるため、加湿器などを使い、湿度を上げることも考えましょう。
関連リンク:快眠のための寝室の温度と最適なエアコン設定とは
-
適切なマットレスを選ぶ
寝具の中でも適切なマットレスを選ぶことは、寝相を良くし、良質な睡眠へ導くために一番大きな役割を担っていると言えます。まずは自然の寝返りができるマットレスを選び、寝相を改善するようにしましょう。寝返りには血液の流れが悪くならないようにすることや、空気の対流を作り寝床の中の温度や湿度を整えるなどの役割があり、寝返りが打ちやすいマットレスは、寝相を改善する効果が期待できます。
マットレスを選ぶときのポイントは、「自分の体重をもとに、最低限の厚みがあるか」、「身体にかかる圧力を分散するのに優れているかどうか」、「寝返りを十分に打てる広さか」、「蒸れにくい設計かどうか」の4つがありますので、この4つのポイントを基準にして選ぶと良いでしょう。
-
適切な枕を選ぶ
マットレスだけでなく寝返りしやすい適切な枕を選ぶことも大切です。適切な枕とは、仰向けになったときに頭から肩にかけての隙間を埋められる高さがある枕のことです。
理想的な枕の高さは人によって違いますが、一般的に男性や体格がしっかりした方、筋肉が多くついている方には高めの枕、女性や細身の方、子どもには低めの枕が良いと言われています。
枕の硬さは、硬すぎても柔らかすぎても首に負担がかかりますので頭が沈み込まない程度の硬さの枕を選ぶと良いでしょう。
この他に、枕の横幅にも注意が必要です。左右に寝返りをしたときに頭が落ちてしまわないように、だいたい自分の頭3つ分の大きさを目安に、寝返りが十分にできることを考えて横幅のある枕を選びましょう。
枕の高さや好みは人それぞれですから実際に寝て確かめることが大切です。フランスベッドでは寝姿勢測定機で寝ているときの姿勢を測ることができます。寝姿勢測定の判定を目安にして自分に合った枕を選ぶこともできます。
関連リンク:フランスベッドの寝姿勢測定機
-
寝室を明るくし過ぎない
寝室を明るくし過ぎないことも大切です。睡眠時には、メラトニンという睡眠ホルモンが徐々に分泌され始め、それにより自然と眠くなっていきます。しかし、スマートフォンのブルーライトや、明るすぎる電球の光を浴びていると、脳が覚醒してこのメラトニンが分泌されにくくなります。そのため、寝る前のスマートフォンやパソコンの使用も控えたほうが良いでしょう。
また、個人差はありますが、真っ暗な寝室が逆に睡眠の妨げになっている場合もあります。心身ともにリラックスさせて疲労を回復させるための睡眠ですが、真っ暗な環境で焦りや不安を感じ緊張状態を高めてしまっているという方もいます。交感神経が優位に働いている状態ではリラックスできず、質の高い睡眠をとれませんので副交感神経が優位に働くよう、室内は落ち着いた暖色系の灯りにすることがおすすめです。
-
騒音を防ぐ
騒音も寝相の悪さの原因の一つになりますので、寝るときは音にも気を配りましょう。例えばテレビやラジオをつけたままにしているとなかなか寝付けず、睡眠の妨げになっている可能性があります。
無音で眠れないという方は、水が流れる音など生活音を集めた音源や優しい音色のオルゴールを聴いてみるのも良いでしょう。また近所やマンションの上階などから音が聞こえるときは、防音壁や、遮音シートの設置も検討しましょう。防音壁やパネルは、柔らかい素材でできており、音を吸収してくれる効果があります。また、車の音などの騒音が気になる場合は、防音効果のあるカーテンに変えてみても良いでしょう。防音カーテンには、音を抑える効果だけでなく、遮光効果もあり、外の明るさが気になる場合にも利用できます。効果を高めるためには、隙間がないように窓をしっかりと覆うように取り付けることがポイントです。
-
就寝時の服装を見直す
就寝時の服装を見直すことも大切です。
就寝時にパジャマを着ていないという方は、心地よい眠りを得るためにパジャマを着ることをおすすめします。睡眠中は、多量の汗をかきながら体温調整をしますが、吸湿性が良くない服で寝ると汗を吸い取らず不快感が残り睡眠の妨げになります。パジャマは睡眠用に作られているため、吸湿性が高く、通気性にも優れています。熱がこもらず乾燥するのも早いため快適な睡眠の手助けをしてくれます。パジャマには寝返りがしやすいというメリットもあります。一般的に睡眠時の寝返りの平均回数はおよそ20~30回ですがジャージやスウェットなどは、身体にフィットする作りのものが多く、フードが付いているものだとさらに寝返りがしにくくなります。パジャマであれば、吸湿性、通気性も良くゆったりと締め付けがないため、寝返りもしやくなります。
正しい寝姿勢についておさらい
寝相が悪いかどうかを判断する前に、まずは寝返りの役割を知ることが大切です。寝返りには、血流の循環を促す役割や、寝姿勢をリセットする他に、布団の中の温度や湿度を調整する役割もあります。また、正しい寝姿勢を把握しておくことも重要なポイントです。寝姿勢の基本は仰向けです。正しい立ち姿勢では、背中にかけて自然なS字カーブを描いており、この状態で寝ると身体にかかる負担は少なくなります。ただし、仰向けで寝付きにくい方は、背骨とベッドが平行の状態で首や腰に負担がかからないように横向きで寝ても良いでしょう。
関連リンク:理想の寝姿勢って?
寝心地改善におすすめのフランスベッドの寝具
フランスベッドの高密度連続スプリング®マットレスは、日本の高温多湿の気候に適するように作られているため通気性が良く、内部に湿気を溜め込みません。そのため睡眠時の汗を速やかに通し発散させ、ムレを感じないため寝付きが良く、良い眠りへとつながります。また、高密度連続スプリング®マットレスは、身体を面全体で支え、理想の眠りのかたちである背筋が伸びた自然な状態のまま眠ることができますので寝心地の改善におすすめです。
快適な睡眠を得るために大事な、布団の中の温度と湿度を快適に保つには、その調節に優れているフランスベッドの羽毛布団がおすすめです。水鳥の種類・産地を厳選した羽毛を国内自社工場で一貫生産し、厳しい品質基準をクリアしているため寝心地も快適です。
マットレス、枕、羽毛布団など寝心地を改善して心地よい眠りを実現するためにおすすめのフランスベッドの寝具5選をご紹介します。
まとめ
寝相が悪い原因は、身体に負担がかかる寝具や外的環境による影響、精神的なストレスなどさまざまありました。その原因を解消して寝相を改善し、睡眠の質を高めるために大切なのは睡眠環境を整えることです。
寝室の温度調整、寝心地を改善する寝具の購入、睡眠時の服装の改善などすぐにできるものもあれば、病院での診察が必要な睡眠時無呼吸症候群など病気が潜んでいるおそれもあります。症状がひどい場合は医療機関への相談をしてください。
この記事の監修者
友野なお
睡眠コンサルタント / 株式会社SEA Trinity代表取締役
千葉大学大学院 医学薬学府 先進予防医学 医学博士課程
順天堂大学大学院 スポーツ健康科学研究科 修士
日本公衆衛生学会、日本睡眠学会、日本睡眠環境学会 正会員
自身が睡眠を改善したことにより、15kg以上のダイエットとパニック障害の克服に成功した経験から、科学的に睡眠を学んだのち、睡眠の専門家として全国にリバウンドしない快眠メソッドを伝授。著書に「眠れないあなたを救う睡眠ファースト」(主婦の友社)など多数発売され、韓国・台湾・中国全土でも翻訳され発売されている。眠れると話題の「ぐっすり眠れる不思議な塗り絵」(西東社)は9シリーズ発売されるほどの人気。