有竹教授に聞いてみた#1

睡眠環境の整え方とは?
理想の温度・湿度と寝姿勢を
睡眠の専門家が解説
厚労省「睡眠ガイド」
研究分担者インタビュー

※睡眠環境とは寝室環境と寝床内環境を指す

毎日使う寝具だからこそ、感覚的な「心地よさ」だけでなく、科学的な裏付けが求められる時代が来ています。
厚生労働省の健康づくりのための睡眠ガイド2023作成にも参画され、睡眠科学の第一線で活躍される有竹清夏教授をお招きし、
フランスベッドの製造工場やスリープ研究センターの視察を経て、理想の寝床内環境や骨格を支える寝姿勢、
さらに現代人が抱える睡眠課題へのアプローチについて、じっくりとお話を伺いました。

この記事の監修者

埼玉県立大学 教授・博士有竹 清夏

東京医科歯科大学医学部保健衛生学科卒業、同大学院博士後期課程修了。博士(保健学)。米国認定睡眠検査士(RPSGT)。日本睡眠学会幹事、日本時間生物学会評議員、日本睡眠検査学会評議員などを務める。国立精神・神経医療研究センター研究員、日本学術振興会PD、ハーバード大学医学部リサーチフェロー、早稲田大学、東京大学を経て現職。厚生労働省研究班の研究分担者。不眠の時間認知機能、運動の放熱および睡眠にもたらす効果、女性の更年期および月経周期と睡眠問題の関連について研究を行う。

寝床内環境の大切さを知り、 通気性の良い寝具を選ぶこと

睡眠の質を左右する「寝床内環境」とは︖

良質な睡眠のためには、「寝室環境」と「寝床内環境」の両方を整えることが重要ですが、
特に重要なのが、睡眠の質に大きく関わる「寝床内環境」です。
寝床内環境とは、マットレスや布団に囲まれた、睡眠中の身体と寝具の間の温度や湿度のことを指します。

  • 寝室環境

    寝室全体の明るさや静かさ、
    温度・湿度など

  • 寝床内環境

    睡眠中の身体と寝具の間の
    温度・湿度環境のこと

睡眠時に身体が直接触れる寝床内の環境が、睡眠の快適性や質に大きく影響を及ぼすことは当然ですね。エアコンなどを利用して寝室全体の温度や湿度を調整している方は多いと思いますが、実際に身体を包み込む寝床内環境まで意識している方はそれほど多くないかもしれません。

一般的に、理想的な寝床内環境は季節によって多少の違いはあるものの「温度33℃±1℃、湿度50%±5%」程度とされています。
このバランスが崩れると、熱や湿気が寝具内にこもりやすくなり、快適な睡眠が妨げられる可能性があります。人は眠りに入る際、身体の内部にある深部体温を徐々に低下させます。これは自然な入眠に欠かせない生理現象であり、放熱がスムーズに行われることで深部体温が下がり、自然な眠気が生じ、その後の深い睡眠へと移行しやすくなります。

理想的な寝床内環境

乳幼児が眠くなると手足が温かくなることがありますが、まさにこれが体内の熱を放散し、深部体温を下げている状態です。

同様に、大人においても適切な寝床内環境が維持されることで放熱が促され、深部体温をスムーズに低下させることができます。

理想的な「寝床内環境」に近づけることは、こうした人間のもつ体温調節機能をサポートすることになり、良質な睡眠へ導く重要な条件の1つと言えます。

寝床内環境を整えるために、
寝具にはどのような機能が求められますか︖

寝具には身体を支える機能だけでなく、熱や湿気を効率よくコントロールする機能が求められます。

人は睡眠中に体温調節を行うため、汗をかきながら熱を放散しています。一般的に、人は一晩でコップ約1杯分の汗をかくといわれていますが、その多くは睡眠前半の深い眠りであるノンレム睡眠の時間帯に集中しています。このとき、体から放出された熱や湿気を適切に逃がすことができなければ、理想的な寝床内環境を維持することは難しくなります。

例えば、通気性や吸湿性が十分でないマットレスや敷き布団などを使用すると、睡眠中にかいた汗や熱が寝具内にこもってしまいます。すると、寝床内の温度や湿度が上昇し、身体はそれ以上熱を効率よく逃がすことができなくなります。
その結果、深部体温の低下がスムーズに進まず、入眠が妨げられたり、睡眠中に不快感を覚えて目が覚めたりする要因になります。寝具の通気性は寝床内環境を整えるのに非常に重要な機能なのです。

通気性を重視したフランスベッドの高密度連続スプリング®マットレスは、
理想的な寝床内環境づくりに役立つのでしょうか︖

そうですね、
寝床内環境という観点から見ると、通気性に配慮されたマットレスは、有効な選択肢の一つと言えますね。

寝床内環境を整えるうえで、マットレスの通気性は重要な要素の一つです。
睡眠中は体から熱や湿気が放出されるため、マットレスはそれらを適切に逃がしやすい構造であることが望ましいと考えられます。
高密度連続スプリング®のようなオープンコイル構造のマットレスは、内部に空気の通り道が確保されているため、熱や湿気が滞留しにくいことが期待されます。もちろん、睡眠環境や体質には個人差があるため、通気性だけで睡眠の質が決まるわけではありません。しかし、寝床内環境という観点から見ると、通気性に配慮されたマットレスは、快適な睡眠を支えるための有効な選択肢の一つといえるでしょう。

オープンコイル構造の高密度連続スプリング®マットレス
高密度連続スプリングの通気性の良さの比較
ポケットコイル
ポケットコイル湿気をため込みやすい
高密度連続スプリング®
高密度連続スプリング®内部に湿気をためこみにくい

当社比 フランスベッドスリープ研究センター調べ

寝姿勢、寝返りのしやすさが 良い眠りにつながる

どのような寝姿勢が理想的ですか︖

まず大前提として、ご自身が心地よいと感じ、身体に無理な力が入らない姿勢であることが大切です。
一般的には、仰向けに寝たときに、立っているときのような自然な背骨のS字カーブが保たれている状態が理想的とされています。

理想的な寝姿勢のイメージ

もちろん、横になると重力のかかり方が変わるため、立っているときとまったく同じ姿勢になるわけではありません。しかし、頭から腰にかけての背骨が自然なカーブを保ち、身体の一部だけに負担が集中しないことが重要です。また、睡眠中は無意識のうちに寝返りを打つため、身体がマットレスや布団などに過度に沈み込んだり、反対に硬すぎて圧迫感を感じたりしないことが大切です。

理想的な寝姿勢とは、このように背骨を自然な状態で支えながら体圧を適切に分散し、睡眠中も無理なく寝返りができる状態をいいます。

寝返りは良い睡眠とどのように関係しますか︖

人は寝返りをすることで、身体にかかる圧力のバランス整え、睡眠の質を保っています。

睡眠中に長時間同じ姿勢を続けていると、身体の一部に圧力が集中したり、血流が滞りやすくなったりします。そのため、人は無意識のうちに寝返りを打ちながら、身体にかかる負担を分散し、快適な睡眠環境を維持しています。

寝返りは睡眠を妨げる動作ではなく、身体の状態を整えるための自然な生理現象なので、健康な方であっても、睡眠中には適度な寝返りが行われており、睡眠の質を保つうえで大切な役割を果たしています。

そのため、寝具における「寝返りのしやすさ」はとても重要になります。

寝姿勢や寝返りを考えると、どのようなマットレスを選べばよいですか︖

マットレスには、適度な硬さが必要です。

柔らかすぎるマットレスは腰などの重い部分が沈み込みやすく、背骨本来の自然なS字カーブが崩れる原因になることがあります。

一方で、硬すぎるマットレスは身体の一部に圧力が集中しやすく、寝返りが増えすぎたり、不快感につながったりする可能性があります。

柔らかすぎるマットレスの場合 硬すぎるマットレスの場合

大切なのは、身体をしっかり支えながら、自然な寝姿勢を保てることです。
そして、睡眠中に無理なく寝返りが打てることも、快適な睡眠を支える重要な要素といえるでしょう。

このように、マットレスは単純に「柔らかい方がよい」「硬い方がよい」と一概には言えません。適した硬さは、一人ひとりの体型や骨格、体重のかかり方などによって異なります。ご自身の身体に合ったマットレスを選ぶことで、自然な寝姿勢を保ちやすくなり、寝返りもしやすくなります。その結果、より快適な睡眠につながるのではないでしょうか。

フランスベッドでは寝姿勢測定機を用いて、
一人ひとりに最適なマットレスの硬さや枕の高さを提案しています。

一人ひとりの身体の特徴に合わせて寝具を選ぶという考え方は、とても理にかなったアプローチだと思います。

体型や体重、背骨のラインには個人差があり、すべての方に合う寝具というものはありません。
マットレスの硬さや枕の高さが身体に合っていない場合には、睡眠中の姿勢が不自然になったり、身体の一部に負担がかかったりすることもあります。そのため、身体の状態を客観的に測定し、その結果を参考にしながら寝具を選ぶことには大きな意義があると思います。

近年の睡眠研究においても、「寝心地が良い」という主観的な評価だけでなく、客観的なデータを活用した評価の重要性が高まっています。また、測定結果をもとに専門知識を持つスタッフのアドバイスを受けながら選べることも、大きな安心につながるのではないでしょうか。
寝具は毎日使うものであり、睡眠の質にも深く関わります。だからこそ、感覚だけで判断するのではなく、自分の身体に合ったものを客観的な視点から選ぶことが、快適な睡眠への第一歩になると思います。

マットレス、枕など寝具全体の組み合わせで
良い眠りがつくられるのでしょうか︖

可能であれば、マットレスと枕をあわせて選ぶことをおすすめします。

良質な睡眠を考えるうえでは、マットレスと枕のバランスを見ることが大切です。一般的には、頸椎に負担をかけず自然な寝姿勢を保つために、枕の高さは7~ 11cm程度(結果として隙間が1~6cmになる状態)が一つの目安とされています。ただし、枕は単独で考えればよいものではありません。マットレスの硬さによって身体の沈み込み方が変わるため、同じ枕でも寝姿勢は異なります。そのため、枕とマットレスは別々ではなく、全体のバランスを確認しながら選ぶことが大切です。また枕は、マットレスと同様に通気性や素材感も重要な要素です。

理想的な枕の高さ

エビデンスに基づいた 寝具づくりヘ

今後「良い寝具」の効果を
多くのお客様に正しくお伝えしていくためには︖

寝心地が良いという主観的な感覚だけでなく、客観的なデータに基づいて評価していくことが、これからますます重要になっていくと思います。

今までは、寝具の評価は主観に頼ることがほとんでした。しかし近年は睡眠研究の進歩により、脳波や体温、自律神経活動などの生体指数を用いた客観的データを通じて睡眠の状態をより詳しく把握できるようになってきました。こうした科学的な視点を取り入れながら寝具の価値を伝えていくことで、多くの方に納得感を持って選んでいただけるようになるのではないでしょうか。

フランスベッドのマットレス工場やスリープ研究センター
についてどう思われましたか︖

今回、マットレス工場やスリープ研究センターを見学する機会をいただき、寝具づくりに対する真摯な姿勢と、長年培われてきた技術力を感じました。

特に印象的だったのは、睡眠研究の分野で重要とされる「放熱」や「寝姿勢」といった考え方が、実際のマットレスづくりに活かされていることです。快適な睡眠を支えるための工夫が製品の構造や設計に反映されており、研究者の立場から見ても興味深い取り組みだと感じました。近年は、寝具においても科学的な検証の重要性が高まっています。今後も研究やデータに基づきながら、より良い睡眠環境づくりにつながる製品開発が進んでいくことを期待しています。

フランスベッド株式会社

有竹教授のお話から、良質な睡眠には寝床内環境や寝姿勢など、
睡眠を支える環境づくりが重要であることがわかりました。
毎日使う寝具だからこそ、心地よさだけでなく、科学的な視点も取り入れながら選ぶことが、
快適な眠りにつながるのではないでしょうか。
フランスベッドでは、寝姿勢測定機による客観的なデータと、スリープアドバイザーによる丁寧なカウンセリングを通じて、
お客様一人ひとりに適したマットレス選びをサポートしています。
より快適な睡眠環境づくりのために、この機会にご自身に合ったマットレスを見つけてみてはいかがでしょうか。

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