よくある質問 マットレスの知識
体圧分散マットレスとは?効果やメリット、選び方は?
更新日:2025/09/19
体圧分散マットレスとは、睡眠中に身体へかかる圧力を均等に分散し、特定の部位への負担を軽減する機能を備えたマットレスのことです。 ベッドの購入や買い替えを考える際、「寝心地の良さ」を重視される方は多くいらっしゃいます。その中でも近年注目されているのが、体圧分散性に優れたマットレスです。ただし、体圧分散性が高いマットレスがすべての方に適しているとは限りません。体圧分散とは具体的にどのような仕組みなのか、どのようなメリット・デメリットがあるのか、そしてご自身に合ったマットレスを選ぶためのポイントについてもご紹介いたします。
体圧分散とは何?
体圧分散とは、身体にかかる圧力を分散させることをいい、特定の部位への負担を軽減する機能です。身体を横にして眠る姿勢になったときには、頭、腰、ふくらはぎなどの身体の出っ張った部分に強い圧力がかかります。体圧分散が悪いマットレスを使用し続けると、睡眠中にずっと身体に負担がかかった状態になり、結果的に腰痛や肩こりなどを引き起こしてしまうことがありますが、逆に体圧分散性が非常に高く、柔らかくて、包み込まれるようによく沈みこむマットレスでも、腰痛や肩こりを引き起こすとも言われます。
「体圧分散が良い、体圧分散性が高い」の意味を正しく理解してマットレスを選ぶことをお勧めします。
体圧分散性の高いマットレスの仕組み
体圧分散性とは身体の各部分にかかる圧力を分散する性質のことです。マットレスに身体が接する面積が大きいほど圧力の分布が均等になり、「体圧分散性が高い」状態になります。
つまり体圧分散性が高いのは、柔らかく沈みこみやすいマットレスである、いうことになります。体圧分散性の高い素材としては、低反発ウレタンフォーム、ジェル素材、ラテックスなどが挙げられます。
ここで気を付けなくてはいけないのは、体圧分散性が高いマットレス=良い睡眠に適したマットレスとは限らないということです。
柔らかく沈み込みやすいマットレスの場合、体圧分散性自体は高いのですが柔らかすぎて寝返りがしにくかったり、腰が沈んで正しい寝姿勢を保てなくなったりすることもあります。良い睡眠のためには、体圧分散性の高さだけにこだわらずにマットレスを選ぶ必要があります。
体圧分散性の高いマットレスを使用するメリットは?
体圧分散性の高いマットレスを使用することで、具体的にはどういったメリットを得られるのでしょうか。
体圧分散性の高さは、寝心地に影響する重要な要素ですが、上記で説明したように、「体圧分散性が高い=よい睡眠に適したマットレス」 とはかぎりません。体圧分散性を意識して寝具選び行う時は、硬さや柔らかさだけでなく、寝返りのしやすさを重視し、自分に合った寝心地のものを選ぶことが大切です。
薄い敷布団で寝ていて、身体が痛くなることはありませんか?
薄い敷布団を床に直接敷いて寝ていると、身体に痛みを感じることがあります。これは、敷布団の「体圧分散性」が低いため、頭・腰・ふくらはぎに圧力が集中してしまうことが原因です。特に、床に直接敷いて使っている場合は、その傾向が強くなります。
寝返りを打つことで一時的に痛みは和らぎますが、またすぐに同じ部分に圧力がかかるため、不快感はなかなか解消されません。これは、薄い敷布団にはマットレスのように、表面で寝心地を整え、内部で体を支える構造が備わっていないためです。
もし、敷布団を床に直接敷いて使用していて、身体に痛みや硬さを感じている場合は、もう1枚敷布団を重ねたり、折りたたみ式の薄手マットレスを併用したりすることをおすすめします。体圧分散性が向上し、寝心地の改善が期待できるでしょう。
医療・介護用のマットレスは体圧分散性の高さが重要
医療や介護の現場では、マットレスの体圧分散性が非常に重要になります。入院されている方、介護を受けている方は、自力で適度な寝返りをうつことが難しい状態であることが多くなります。自力で寝返りがうてないと、長時間同じ姿勢で寝ていることにより肩甲骨・仙骨・かかとなどに圧力が集中してしまい、その部分の血流が滞ることで皮膚や組織にダメージが生じてしまうことがあります。これを「褥瘡(じょくそう)」といい、一般には「床ずれ」とも呼ばれています。この「褥瘡」を予防するために、医療・介護用のマットレスには体圧分散性の高さが非常に重要視されています。このため、医療・介護用マットレスは、硬さの異なるウレタンフォームを層にして、効率的に体圧を分散できるよう調整されたノンスプリングマットレスの他、エアーマットレスなど、体圧分散性の高さを重視したマットレスのラインナップが充実しています
体圧分散性が高いマットレス=良いマットレスではない理由
先にも述べたとおり、体圧分散性が高い=良いマットレス、ではありません。
自分で寝返りをすることが困難な方にとっては、褥瘡(床ずれ)が発生しにくい体圧分散性の高い柔らかめのマットレスが良いかもしれません。一方、自然に寝返りができる方にとっては体圧分散性の高い柔らかいマットレスは必ずしも良いマットレスとは言えません。これにはいくつか理由があります。
沈み込み過ぎ、寝返りしにくい
体圧分散性の高い柔らかいマットレスがなぜ良いマットレスではないかというと、マットレスが柔らかいと身体が沈み込みすぎて寝姿勢が崩れたり、寝返りがしにくくなったりするからです。寝返りがしにくくなると血液循環が妨げられ身体への負担は大きくなります。
これは体圧分散性が高いといわれるマットレスの中でも、柔らかめの低反発タイプ(ノンスプリング)の場合に発生しやすい状態です。低反発フォームの特徴である身体を包み込むような柔らかさは、保温性も高く快適に感じられることもあります。しかし、肩や腰など体重がかかりやすい部分が深く沈み込みすぎた場合、背骨の自然なS字カーブが保ちにくくなり、正しい寝姿勢が保てなくなる可能性があります。さらに、身体を起こして寝返りを打つ必要が生じることで、動きに余計な力が必要となり、無理のない自然な寝返りができません。自分の体形や寝姿勢、動きの傾向に合わないマットレスをつかっていると起床時に違和感を覚える方もいるようです。
通気性が悪い
体圧分散性の高い柔らかいマットレスには、ノンスプリングタイプが多く、厚めのウレタンフォームなどの素材が使われることが多く通気性の悪い商品が見受けられます。例えば低反発タイプは、柔らかく身体に沿って沈み込む特性があります。密着度が高いということは、日本の夏場のように湿気が多い環境では蒸れやすく、寝具内に熱や湿気がこもりやすくなるため、寝苦しさを感じる可能性があります。特にノンスプリングのマットレスの場合、身体全体を支えるためにある程度の素材の厚さが必要であり、厚くなればなるほど通気性が悪くなる傾向があります。通気性が悪いと寝苦しさだけでなく、カビの発生につながる可能性もあります。カビは衛生面、健康面で考えても良くないだけでなく、マットレスの劣化を早める原因にもなり、買い替えの時期が早まることも考えられます。
自分に合ったマットレスの3つの選び方
自身の身体に合った硬さ
柔らかすぎると寝返りがしにくく、硬すぎると寝返りが増えすぎてしまうことから、良いマットレスは柔らかすぎず硬すぎないマットレスであることがおわかりいただけたと思います。
フランスベッドは、柔らかすぎず硬すぎないマットレス=寝心地の良いマットレスを作り上げるために、高密度連続スプリング®を採用しています。高密度連続スプリング®を使用したマットレスは、内部のスプリングが身体をしっかり支えるため適度な反発力があり寝返りがしやすくなり、マットレス表面の詰め物が体圧を分散することで、理想の寝心地を実現しています。
使用されている素材
使用されている素材にも注目してみてください。人は眠っているとき、体内の熱を放出するために汗をかきますが、通気性の悪いマットレスを使用していると、ベッド内で蒸れてしまいなかなか体温が下がらず寝苦しくなります。先にも述べたように低反発ウレタンなどを使用した体圧分散性の高いマットレスは、素材として通気性が良くないものがあります。
スプリングマットレスは、マットレス内部に湿気をこもらせず放出しやすい構造のためノンスプリングのフォームマットレスよりも通気性に優れています。特に高密度連続スプリング®は中空構造のため、不燃負の袋に包まれたポケットコイルよりも通気性に優れており、高温多湿な日本の環境に適したスプリングです。
この高密度連続スプリング®に、体圧分散性の高い素材を組み合わせることにより、素材の良さを活かした機能性の面でもバランスの良いマットレスを作ることができるのです。
日本で唯一、フランスベッドが生産している高密度連続スプリング®について詳しくはこちら
高密度連続スプリングマットレス
マットレスのサイズ
マットレスのサイズも自然な寝返りをするために重要になります。マットレスの幅が狭すぎると身体が無意識で気を使い、寝返りの数が減ってしまうからです。寝返りをする際にはおよそ肩幅+40㎝程度の幅が必要と言われています。このサイズ感を意識して、身体の大きな方はシングルではなくセミダブルの使用、夫婦など二人でひとつのマットレスを使用する場合はクイーンサイズのマットレスを選ぶなど無理なく寝返りできるサイズを選びましょう。
体圧分散マットレスに関するQ&A
体圧分散って本当に必要?
体圧分散はよい眠りのために必要な一つの要素です。
体圧分散は、頭・腰・ふくらはぎなど身体の一部に圧力が集中することを防ぎ、正しい寝姿勢を保つことにもつながるからです。ただ覚えておく必要があるのは、体圧分散性が高い=良いマットレスではないということです。
体圧分散性だけでなく良い眠りのために本当に良いマットレスは何かを考えて選ぶ必要があります。
マットレスの硬さは何基準で選ぶ?
マットレスの硬さは、一般的に体重、体型、寝姿勢、好みなどを基準にして選ぶことが一般的です。体重がある方は柔らかいマットレスの場合、沈み込みやすく寝姿勢が崩れやすくなることがあります。さらに、仰向け寝や横向き寝、うつ伏せ寝などの寝姿勢によっても理想の硬さは異なります。腰に違和感を覚える方は、沈み込みすぎない硬さを選ぶことで、快適に感じることもあるでしょう。柔らかすぎても硬すぎても良くないので自身の身体にあった硬さを見極めることが大切です。
フランスベッドの
マットレスで快適な睡眠を
まとめ
体圧分散性が高いかどうかはマットレスを選ぶ上で一つの基準にはなりますが、あくまでもマットレスの特長の一面にすぎません。何度も述べてきたように体圧分散性が高い=良いマットレスではありません。
マットレスを選ぶ上で大切なのは、寝ているときの正しい姿勢、寝返りのしやすさ、通気性などの睡眠環境です。ですから、使用されている素材なども考慮して選ぶようにしましょう。
自分にとってどんなマットレスが最適かを見極めるためにショールームなどで実際に試してみることや、専門スタッフに相談しアドバイスを受けるなどして良い睡眠がとれるようにしましょう。

この記事の監修者
上村英樹
フランスベッド株式会社
インテリア営業企画部 新規営業開発室課長
大阪経済大学経営学部を卒業後、1997年フランスベッド株式会社に入社。関西エリアで25年以上営業業務を経験後、インテリア事業本部へ。現在はベッドやマットレス、羽毛布団など広範囲にわたる商品知識と接客経験を活かし、スリープアドバイザー研修や新入社員研修等の社内研修講師を務める。