眠りの疑問 -睡眠について- SLEEP FAQ
Q
睡眠負債とは?心身への影響と解消方法について
更新日:2025/02/03
A
「睡眠負債」とは、睡眠不足がまるで「借金」のように積み重なった状態で、返さないといけない「負債」がたまってしまっていることを表しています。睡眠の「負債」が貯まると、心身に悪影響を及ぼし仕事や家事などの効率低下にもつながるため、原因と解消法含めて詳しく知っておきましょう。
睡眠負債とは
睡眠負債は、必要な睡眠時間に対して実際の睡眠時間が継続して不足している状態です。
「借金」に例えると、睡眠不足という「負債」が増え続けていることになります。返済できない期間が長引くほど心身共に悪影響が出てきますので注意が必要です。
ただし、睡眠不足が続いたからといって、週末に多く睡眠をとって調整するなどの計算はあまりおすすめしません。週末の寝だめは、お昼近くまで寝てしまうため、1日の生活リズムが乱れてその日の夜の寝つきが悪くなる可能性があります。その結果、休み明けになかなか起きられなかったり体がだるくなってしまったりと、悪循環に陥ってしまい逆効果になるのです。全く効果がないわけではありませんが、基本的にそれでは取り戻せないと思ってください。
睡眠負債のおもな兆候とは?
睡眠負債を抱えている方は、睡眠不足の状態が当たり前になってしまい自覚症状がないことが多いといわれます。睡眠負債がたまっている兆候を確認するチェックテストを紹介しますので、自覚がある方もない方も試してみてください。当てはまる項目が多い場合は注意が必要です。
睡眠負債のチェックテスト
- 休日は昼まで寝ていることが多い
- 朝、目覚めてもスッキリとしていない
- 起きる時刻に、なかなか起き上がることができない
- 日中に眠気を感じてしまう
- やる気が出ない
- よくイライラしたり落ち込んだりする
- よく風邪をひく
- 太りやすくなった
睡眠負債の原因について
睡眠負債の原因は、慢性的な睡眠不足です。各自が必要とする睡眠時間は、その人の体質や年齢、季節によっても異なるので一概には言えませんが、OECD(経済協力開発機構)の令和3年の調査報告や厚生労働省の令和元年の調査でも日本人の平均睡眠時間の短さが指摘されています。
このことからも、日本人は睡眠負債を抱えやすい環境にあると思われます。
その理由として次のようなことが考えられます。
睡眠不足
人は本来、太陽が昇る昼間に活動し、太陽が沈む夜に眠るという自然のリズムによって生活しています。しかし、現代ではこの自然のリズムが維持しにくい社会構造になっており、深夜遅くまで働く長時間労働者が増えて、オフィス内は蛍光灯が煌々と照っています。コンビニや飲食店をはじめ24時間営業の店も多いため、夜中でも常にネオンが光っており、太陽が沈んで眠らなければならない時間帯でも、起きていられる環境が当たり前になってきました。こうした自然の眠りが妨げられる環境が原因で、睡眠時間が減少し睡眠不足に陥る人が増えています。
睡眠障害
睡眠にかかわる病気である「睡眠障害」が原因で睡眠不足が習慣化している場合もあります。睡眠障害には夜中に何度も目が覚める、眠りが浅い状態が続くなどの「不眠症」や、寝ているときに何度も呼吸が止まる状態になる「睡眠時無呼吸症候群」などがあります。これらの病気には、単に眠りづらくなるだけでなく、昼間に活動する交感神経にも影響を及ぼすため、精神的に不安定になるリスクも潜んでいます。日常生活に支障が生じている場合は、はやめに専門家に相談しましょう。
睡眠負債がもたらす心身の不調
睡眠不足や睡眠の質の低下により自律神経が乱れると、不機嫌になったりイライラしやすくなったりするなど精神状態に影響を及ぼします。さらに長期間続いて睡眠負債が積み重なると、うつ病や不安障害などの発症に繋がることがあるため軽視できません。また、精神面だけでなく肉体面にも様々な不調をもたらします。疲労感や倦怠感をはじめ、大きな病気を発症するリスクも高まります。睡眠負債によって起こる不調を具体的にご紹介します。
疲労感や倦怠感を覚える
睡眠負債が貯まると、常に体がだるく、寝ても疲れが取れないといった疲労感や倦怠感を覚えたり、頭痛や肩こりなどの症状で悩まされたりすることがあります。
睡眠には、その日1日に生じた疲れを解消し、体を回復させるという大切な役割がありますが、睡眠不足が続くことで、体が回復できずに、疲労感や倦怠感が蓄積され、慢性化してしまい、日中の作業パフォーマンスが下がってしまうなどの影響が出てしまうのです。
免疫力が低下する
睡眠負債が貯まると、体を回復させる免疫力も低下するといわれています。実感として、睡眠不足だと風邪をひきやすいと感じている人も多いと思います。実際、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、良い睡眠は免疫機能の維持に重要であると示されています。睡眠不足や睡眠の質の低下によって、本来睡眠中に行われている免疫システムの修復が十分に行われないことで風邪をひく確率が上がるなど、病気になる可能性も増えます。
認知力や判断力が低下する
睡眠負債が貯まると、認知力や判断力が低下します。このため仕事や作業をしている時にぼーっとしてしまい、ケアレスミスを引き起こすこともあるでしょう。本来、日中も健康な状態を保つためには、レム睡眠とノンレム睡眠と呼ばれる2つの作用が正常に機能する質の良い睡眠が大切です。しかし、睡眠負債を貯めると、記憶や感情を整理する役割を持つレム睡眠が短くなってしまいます。このような状態が続くことで脳へのダメージが大きくなり、その結果、認知症を発症する危険性もでてきます。
睡眠負債の解消法
前述した、「睡眠負債のチェックリスト」で当てはまる項目が多数あり、「もしかしたら私も、睡眠負債をかかえているのかも…」と感じた方は、生活習慣を見直す良いきっかけかもしれません。睡眠の質を高める方法についてご紹介しますので参考にしてください。
夕食はなるべく早めに済ませる
夕食はなるべく早めに済ませましょう。仕事が忙しいなどの理由はあると思いますが食事を後回しにはせず、先に済ませるようにしてください。遅い時間に食事をすると、食べた物を消化しようと内蔵が活発に働きだすので、その後すぐに寝つけない、あるいは一度寝ても眠りが浅くなってしまうことがあります。どうしても遅くなりそうな場合は、18~19時ぐらいに一度炭水化物を摂って、帰宅後は軽めの食事にすると、内臓の負担も減らせるので、眠りやすくなります。
就寝の2時間前に入浴する
就寝の2時間前を目安に入浴しましょう。一般的に人間は、深部体温が下がり始めたときに眠くなるため、入浴で深部体温を上げて、ゆっくりと時間をかけて徐々に下げながら深い眠りへと入っていきます。ですから入浴が寝る直前すぎると、体温が高い状態がしばらく続き、ベッドに入ってもかえって寝つきが悪くなるといったことになるので気をつけてください。
関連リンク:快眠に繋がる入浴方法とは
寝る前のテレビや電子機器の使用を控える
寝る前のテレビやスマートフォンやパソコン、タブレットなどの電子機器の使用はなるべく控えましょう。テレビや電子機器の画面から発せられるブルーライトが目に入ると、脳が昼間と錯覚して目が覚めてしまうことがあります。できることなら、枕元にはスマートフォンやパソコンなどの電子機器を置かないのが理想的です。どうしても使用したい場合は、画面を少し暗めに調整するか、またはブルーライトをカットする保護フィルムやメガネを使用しましょう。
寝具を変えてみる
入浴時間の見直しや、夜のスマートフォンの使用を控えることも大切ですが、睡眠の質を高める一番の近道は、寝ている環境を「快眠できる環境」に変えてみることです。毎日何気なく使っているベッドや枕、シーツなどの寝具は、あなたの睡眠の質を大きく左右する大切なアイテムです。
睡眠不足が続いていて悩んでいるなら、いつも使っている寝具は本当に自分に合っているのか見直してみてはいかがでしょうか?枕の固さ、布団のフィット感、マットレスの安定感など、当たり前に使っていた寝具を変えてみることで、心地よく眠れる新しい感覚が得られることもあります。
例えば、フランスベッドの羽毛ふとんは、寝ている間の体への負担も軽く、寝返りの打ちやすさに加えて、保湿性も高いので安心してぐっすり眠れます。羽毛布団に含まれる羽毛の空気層が暖かさを保ってくれるので、熱を逃さず快適に眠ることができます。
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まとめ
今回は睡眠負債が貯まるとどうなるのかをご紹介しました。睡眠負債の原因には、睡眠不足や睡眠障害など様々な理由が挙げられますが、解消するにはまず、日常生活の行動パターンや、使っている寝具が自分にあっているかなどを見直してみましょう。睡眠時間を確保するのはもちろんですが、それだけでなく睡眠の質を高める対策をすることがとても大切です。