眠りの疑問 -寝具の選び方について- SLEEP FAQ
Q
オーガニックコットンってなに?
更新日:2018/10/01
A
肌触りが良く、給水・通気性に優れるコットンは、私たちの生活になくてはならない生地です。そんなコットンの中でオーガニックコットンといえば、環境や肌にやさしいイメージがあると思います。しかし、普通のコットンとの違いやメリット・デメリットについて理解している人は多くありません。ここでは、オーガニックコットンについて詳しく紹介していきます。
オーガニックコットンとは?
オーガニックコットンとは、化学肥料や殺虫剤、除草剤、農薬などの化学物質を2~3年以上全く使用していない農地で有機栽培されたコットンのことを指します。基本的にコットン栽培といえば、生産の効率化を図るために、農薬や殺虫剤などの使用は不可欠でした。しかし、そういった科学物質を一切使用せずに栽培することになると、厳密な基準や管理が必要となります。そのような基準の下で正しくつくられたオーガニックコットンであることを証明する1つがGOTS認証です。
GOTS認証とは
GOTS認証とはGlobal Organic Textile Standardの略称で、オーガニックコットンが作られ商品となって市場に出回るまでに2つの認証を受ける必要があります。
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1つ目「オーガニックファーミング認証」……農業分野
栽培する畑の土壌改良→栽培→収穫→繰綿→原綿
*繰綿:綿花から種子を除き繊維の部分 だけにする工程。 原綿:紡績の原料として繰綿されたもの。
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2つ目「テキスタイル認証」……製造分野
紡績→製品・商品化
ちなみにこのような認証機関は欧米に数多くありますが、日本にはまだありません。
参考:日本オーガニックコットン協会オーガニックコットン
オーガニックコットンと普通のコットンとの違い
栽培方法
一番の違いが栽培工法です。オーガニックコットンは生産する農地・畑、収穫方法など厳しい基準をクリアし有機栽培でつくられます。手間暇を惜しまず、効率化よりも差別化を追求した栽培方法で生産しています。その分、生産量も少なく、全世界の綿生産量のわずか1%程度にとどまっています。
一方、普通のコットンの栽培方法には農地の指定はなく、コットンづくりには欠かせないといわれる殺虫剤などを大量に使用して栽培しています。大量生産が可能なので安価で流通しています。
参考:日本オーガニックコットン協会「JOCA連載コラムvol.12」
環境への影響
オーガニックコットンが栽培のときから徹底的に管理され、有機栽培でつくられる背景には地球環境があります。オーガニックコットンの栽培では農薬等の科学薬品を使用しないことで、土壌の汚染や廃棄物量、CO2排出量などを抑えています。
反対に、普通のコットンを生産する場合、科学薬品によって土壌が汚染されていきます。土から化学物質が浸み込んで、川や海に流れ着き、それが蒸発して雲になると雨となって大気汚染につながるといわれています。
参考:環境省「化学物質と環境汚染 」
生産者への貢献
コットンをつくっているほとんどが貧困に苦しむ途上国の農家の人です。普通のコットンの栽培で使用する農薬や殺虫剤などの化学物質がそれらの生産者の健康をも害しています。このような問題に取り組み、オーガニックコットンは原料や人件費など適正な価格で、継続的に取引を行うフェアートレード(公正・公平取引)の仕組みでおこなわれているところが多くあります。
このように、オーガニックコットンと普通のコットンの違いはコットン自体の品質の違いというより、もっと間接的で考え方の違いがあります。大きな違いは、自然環境を考える上での栽培方法や貧困にあえぐ途上国の人の生活などへもコミットしている点だといえるでしょう。
オーガニックコットンのメリット・デメリット
オーガニックコットンのメリットは、有機栽培によって、自然環境に配慮し、生産者の健康や生活に貢献できる点です。一方、デメリットとしては、原綿の品質に差はないのに、高価なこと。また、栽培に手間が多くかかるため、大量生産ができずオーガニックコットンだけでは需要を満たすことができないことなどが挙げられます。
オーガニックコットン | メリット デメリット |
普通のコットン | メリット デメリット |
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自然環境配慮 | 有機栽培 | ● | 化学物質を使用 | × |
量産化 | できない | × | 需要に応える | ● |
価格 | 高い | × | 安い | ● |
効率化 | 手間がかかる | × | 可能 | ● |
社会貢献 | フェアトレード | ● | 進んでいない | × |
オーガニックコットンが使用された商品について
こうしたオーガニックコットンの特徴から、日本でも多くの企業やブランドが参加して、社会的責任(CSR)に取り組んでいます。オーガニックコットンの考えに賛同したそうした企業は、以下のような様々な商品も販売しています。
寝具では「枕」、「毛布」、「タオルケット」、「パジャマ」、「シーツ」など。
ベビー用品では「布おむつ」、「肌着」、「ソックス」、「ぬいぐるみ」、「ベビー布団」など。
女性用品では「布ナプキン」、「下着」、「サルエルパンツ」、「マタニティー用品」など。
寝具 | ベビー用品 | 女性用品 |
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以上、オーガニックコットンについて紹介しました。1枚のオーガニックコットンのタオルが様々な繋がりを感じさせてくれるところもオーガニックコットンの素晴らしい特徴といえるでしょう。いろいろな商品が販売されていますので、ぜひ手に取ってオーガニックコットンのストーリーを実感してみてはいかがでしょうか。
